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飲食店がECを簡単に始めるには?始め方まで注意点まで徹底解説【成功事例3店付き】
新型コロナの影響で飲食店は壊滅的な打撃を受けています。
しかも、終息の気配は見えず3回目の緊急事態宣言が発出されようとしています。(2021年4月22日時点)
生き残りをかけて飲食店がECサイトをオープンする動きが顕著になっています。
実は飲食店が壊滅的な打撃を受けている反面で、オンラインでの売上が増大しているという事実があるのです。
そこで、本記事では飲食店がECサイトをオープンするメリット・デメリット、開設するための流れを成功事例と合わせて紹介していきます。
「ECサイトで儲かるの?」
「ECサイトで自慢の料理を販売したいけど、どうやればいいの?」
「飲食店がECサイトをやるイメージが湧かない」
などとお考えの方に必見の記事です!!
目次 1. 飲食店が今ECを始めるべき理由 4-1-1. 許認可関係 4-1-2. デリバリー用の容器 4-1-3. デリバリーサービスの選択 4-1-4. デリバリーサービスの紹介 4-2. ECサイトを構築する 4-2-1. ASPの紹介 5-2. 保健所の許可の取得 5-3. 食品表示ラベルの作成 5-4. 真空包装機の購入(※) 5-5. ECサイトの構築 5-6. ECサイトへの集客 5-7. リピート客になってもらう 6-1. フレッシュつばめ便 6-2. 車街酒場WAO! 6-3. Bistro Plein |
飲食店が今ECを始めるべき理由
新型コロナの影響で飲食店の売上げは激減しています。飲食店の倒産件数も、帝国データバンク「飲食店の倒産動向調査(2020年)」によると2020年(1月~12月)で780件発生し、過去最多の水準となっています。
実際に飲食店を経営しているオーナーの方であれば肌身で感じていることだと思いますが、データできちんと確認することが重要ですので下記にコロナ前とコロナ後の売上を対比した数字を示します。
新型コロナの影響でリアルな飲食店の売上が半減していることがわかると思います。
反面、オンラインストアでは下記のようなカテゴリが大きく売上を伸ばしています。
MakeShop導入オンラインストアの2019年1月1日~9月30日の流通額と2020年1月1日~9月30日の流通額を比較
カテゴリ |
伸長率 |
フード・菓子 |
173.86% |
キッズ・ベビー・マタニティ |
171.06% |
おもちゃ・ホビー・ゲーム |
165.01% |
出典:GMOメイクショップ株式会社「【2021最新版】EC市場規模は拡大中?成長率推移と今後の予測を徹底解説」より
新型コロナの影響で生活様式が変化したことが大きな要因と考えられます。
飲食店の営業自粛、営業時間の短縮、そして他人と接触することによる感染することへの怖れなどにより、外食から中食や宅食に流れていることがこれらの結果と思われます。この流れはコロナが落ち着いて平常の世界が戻ったとしても完全に戻ることはなく一定程度は中食や宅食にとどまり続けると考えられています。
また、新型コロナが登場する前からの大きな流れとして、食品通販市場が拡大しているトレンドがあります。
出典:株式会社矢野経済研究所「食品通販市場に関する調査を実施(2020年)」より
食品通販市場が新型コロナの影響で拡大が加速されたと考えられます。
新型コロナの影響と従来からのトレンドから、今後の展開としては以下のような動きが予想されます。
・リスク分散としてのネット上にもう一つの店舗を展開
・他社に先駆けて行うことにより、ネットで購入する層の取り込みと囲い込み
・中食、宅食の需要の取り込み
今後ますます飲食店分野ではEC展開が重要になってきます。
飲食店がECを展開するメリット・デメリット
飲食店がEC事業を展開する上でのメリットとデメリットを説明します。
ご自分の飲食店の事情や状況を当てはめてECをやるのか、やらないのかを判断する材料にしてください。
メリット
・コロナ禍におけるECの売上の増加
・時間の平準化
・商圏の拡大
①コロナ禍におけるECの売上の増加
最初に挙げるメリットは「飲食店が今ECを始めるべき理由」のデータで示したように、新型コロナ禍においてもオンラインストアの売上が大きく上げていることです。需要がリアルの飲食店からネットのオンラインストアに移行していますので、売れる場所に店舗を作ることは意味があります。
②時間の平準化
2番目のメリットは時間を平準化出来ることです。飲食店のピークはランチタイムとディナータイムになります。
オンラインストアの作業はピークタイムがありませんので、リアルの飲食店で空いている時間に作業することが出来ます。
なので、時間と設備・人材を有効活用することが出来ます。
③商圏の拡大
3番目のメリットは商圏を拡大できることです。実店舗では都心では半径500m、郊外では半径3kmと言われていますが、オンラインストアでは距離の制約はありません。日本国内あるいは全世界を商圏とすることが出来ますので、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
デメリット
・実店舗の強みの欠如
・競合の強さ
・新規の設備導入の必要性
①実店舗の強みの欠如
1つ目のデメリットは、リアルの飲食店の強みがオンラインストアでは通用しないことです。
リアルの飲食店では「美味しさ」以外に、リラックスできる環境、雰囲気がとても素敵、友人との会話が支障なく出来るといったことも強みとなって集客できていましたが、オンラインストアでは商品そのものの強みだけでの勝負となります。
しかも、ブランドが確立していないと「美味しさ」が伝わらず売れないということになります。
②競合の強さ
競合が全国各地にあるコンビニエンスストアやスーパーなどになるのも大きなデメリットです。
会社からの帰りや自宅からちょっと歩いていけるリアル店舗の利便性を上回るメリットをユーザに訴求できるだけの商品の作り込みが必要なことです。
③新規の設備導入の必要性
最後に飲食店の厨房の設備によりますが、オンラインで販売するに当たって新規の設備導入が必要になる可能性があることです。真空パックの機械導入などをした企業も多いですが、新型コロナの影響で売上が厳しい中で追加投資をするというのは難しい判断になります。
飲食店がECを始める前の注意点
例えば焼き肉店で評判の自家製ダレをオンラインストアでも販売する場合には「飲食店営業」の営業許可では違反となるケースがあります。許可が必要なのに無許可で販売すると処罰の対象となります。
「飲食店営業」の営業許可は飲食をお店の中で提供することに対する許可です。
オンラインストアで販売するには追加で製造業や販売業の許認可が必要となります。
出典:東京都の食品安全情報サイト食品衛生の窓「新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ」より
営業許可には食品衛生法で定められたものと各都道府県の条例で定められたものがあります。
まずはどんなものを売りたいかを含めて、明確になった段階で最寄りの保健所に相談しましょう。
飲食店では基本的には作ったその場で食べてもらいますが、オンラインストアで販売するに当たっては作ってから消費されるまでに日数が経過しますので、消費期限・賞味期限を設定する必要があります。
消費期限、賞味期限を設定するには生菌検査を外部機関にお願いする必要があります。
「食品表示法」により食品を販売する際に、添付が義務付けされているのが食品表示ラベルです。食品の種類ごとに表示項目などが細かく規定されています。食品表示ラベルを作成してくれる業者がありますので、相談してみるのも一案です。
飲食店がECを始める手段
飲食店がECを始めるには大きく分けて二つの形態があります。
・デリバリーサービスを利用する
・ECサイトを構築する
デリバリーサービスを利用する
デリバリーサービスを利用して、ユーザからの注文受付~配達までを外部に委託する方式です。
飲食店にとっては、作った料理を店内ではなく配達員に渡すだけとなり、今までの延長線上で商売することが出来ます。
短期的に売上を上げたい場合にはデリバリーサービスの利用をお勧めします。
許認可関係
まず認許可を取得する必要があります。飲食店内の厨房で調理した料理をデリバリーで販売する場合には飲食店の営業許可があれば基本的には新たな許可を取る必要はありません。ただし、アイスクリームやハムなどの単体の食品を販売する場合には別の許可が必要となる場合があります。また、食品表示ラベルについても飲食店内の厨房で調理された料理については添付する必要はありません。
しかし、仕入れ販売する場合やセントラルキッチンで調理された料理を販売する場合には食品表示ラベルは必要となります。基本的にはデリバリーサービスでは飲食店の延長で行えますが、自治体によってルールが違ったりしますので、ご自分で判断せずに管轄の保健所に相談するようにしてください。
デリバリー用の容器
料理をデリバリーする場合には料理に合った容器を準備する必要があります。
水気が漏れない、配送時の振動などで崩れないなど考慮した容器を準備します。
以下のような販売サイトがありますので参考にしてください。
デリバリーサービスの選択
デリバリーサービスに依頼すると、注文があったことの連絡を受ける端末を用意する必要がありますが、それ以外はユーザからの注文受付から配達までを外部に委託できます。
また、集客などについても既存顧客がデリバリーサービスに存在しますので有利です。
デリバリーサービスの紹介
大手の2社をご紹介します。
それぞれ手数料や配達エリアに違いがあるのでご自身の店舗の形態に合ったサービスを利用してみてください。
Uber Eats |
出前館 |
|
手数料 |
約35% |
サービス利用料:10% 配達代行手数料:25% |
配達エリア |
東京、横浜、大阪、名古屋、福岡など大都市で利用可能 |
日本全国 |
配達時間 |
9:00~24:00(エリアで違います) |
9:00~21:00(エリアで違います) |
審査方法 |
サイトから申請 |
サイトから申請 |
特記事項 |
知名度抜群 |
初期費用無料 |
URL |
ECサイトを構築する
自前でネット上に店舗を作成して、注文を受けてデリバリーしたり、食材として販売する方式です。
中長期的な視野で検討している場合には自前でシステムを構築する方がコストは安くなります。
この方式では「ASP」という形態のEC構築サービスでECを構築していきます。ASPとはアプリケーションサービスプロバイダの略称です。クラウド上で提供されたECサイト構築サービスをASPと呼んでいます。
ASPはECサイト構築に必要な機能は揃っていますので、店舗のデザインや販売する料理、食材の登録、決済をどうするかなどを設定で決めていけば必要最低限のECサイトは構築できます。
自分の飲食店に相応しいイメージのデザインにしたい場合やITに詳しい人員がいない場合は、ECサイト構築サービスをしている業者に依頼するのが結果的に早く安くできます。
ASPの紹介
デリバリーに対応したASPを2社ご紹介します。
項目 |
Shopify |
MakeShop |
初期費用 |
0円 |
10000円 |
月額費用 |
$29(ベーシックプラン) |
10000円 |
取引手数料 |
0円(shopiftmayment利用時) |
0円 |
カード決済手数料 |
3.4~4.15% |
3.19%~ |
デリバリー機能 |
○ |
○ |
デリバリー機能とは配達エリアを設定することができ、その配達エリア内のお客様からの注文はデリバリーを依頼することが出来るというものです。ECサイトを構築した後の詳しい流れは以下で説明していきます。
飲食店がECを運営する流れ
次のような流れで飲食店がECサイトの準備から開業、運営までを行うことになります。
こちらでは食材をECサイトで販売する前提で説明していきます。
商品作り
まずは考えるべきことは何を売るのかということです。
飲食店での料理の提供とは違い梱包費や送料も決済手数料などが必要ですので、商品単価がある程度高くないと赤字になる可能性もありますので、セット販売にしたりといった考え方も大切です。
また、食材での提供となると調理する人のスキルは千差万別となりますので、ある程度の幅の調理でも美味しく食べられる工夫も必要です。
保健所の許可の取得
どんな商品を作るかが決まった段階で、管轄の保健所にまずは事前相談してどのような許認可が必要かを確認してください。販売業系の許認可で済む場合はそれほどの作業は必要なく書類を整えて申請すれば取得できます。
しかし、製造業系の許認可が必要な場合は飲食店の設備だけでは対応できず追加で設備や工事をする必要が出てきますので取得するハードルはかなり高くなります。保健所の事前相談でそのあたりの話も十分に相談しましょう。
また、食品関係営業を行う場合には許可施設ごとに「食品衛生責任者」を置く必要があります。
食品衛生責任者の資格を取得するには講習会の受講をすることにより取得できます。
栄養士や調理師の資格を持っていれば講習会の受講を免除されて「食品衛生責任者」になることができます。
食品表示ラベルの作成
食品を販売する場合は「食品表示法」により食品表示ラベルを貼付する必要があります。
食品により表示する項目が違いますので、販売する食品では何が必要かを確認してください。
参考:食品表示法の概要
次のような食品表示ラベル作成のためのサービスもありますので参考にしてください。
食品成分について
食品成分を表示する必要がありますが、原材料から栄養成分を調べるには下記のサイトが便利です。
消費期限、賞味期限について
消費期限、賞味期限を決めるには生菌検査を外部機関に依頼します。
検査をする外部機関はいくつかありますので検索して依頼してください。
真空包装機について(※)
真空包装すると食品の保存期間を長く保てるだけではなく、味や香り食感も長持ちできます。ECを展開する際の必須条件ではありませんが、真空設備などが揃っているとよりクオリティの高い商品を顧客に届けるのが可能になります。
食品をECサイトで販売する場合には飲食店で調理してすぐに消費されるわけではないので消費期限・賞味期限が重要になります。ユーザにとっては消費期限、賞味期限が長いほども使うまでの期間を長く取れるので利便性は高くなります。
真空包装機は家庭用の1万円程度のものから業務用の100万円程度のものまで幅広く販売されています。
金額の違いは脱気力と耐久性になります。脱気力は保存期間に関わってきますし、耐久性は一日に何個を真空包装するかに関わってきます。販売個数や食材によって選択するのがいいでしょう。
以下に真空包装機をご紹介します。
価格:25,800円(税抜)
エラスティック合同会社が販売する真空包装機です。
リーズナブルな価格で汁物や熱いスープも真空包装できます。
価格:要見積
食品業界で実績のある業務用の真空包装機です。リースでの利用も可能です。
真空度が99.8%(家庭用では39%、ドライポンプ式で40~50%)、高温真空保存可能、HACCP衛生管理基準に適合しています。
ECサイトの構築
デリバリーサービスと自社ECサイトでの販売を両方行う場合は、ASP一覧で紹介した二つのサービスから選択します。
食材の販売のみの場合はさらに様々なASPを選択することが出来ます。
▶︎こちらの記事を参考にしながら自社に合うASPを選択してみてください。
【費用・機能比較表】ECサイト開設サービス徹底解説!あなたにおすすめなカートシステムとは?
飲食店とECサイトのリアルとネットの店舗を運営することになりますので、両方の店舗を連携することも検討してください。
連携するポイントは以下の通りです。
・統一した会員制度
・リアルとネットの来店頻度から適切な販促手段(メールマガジンなど)を実施
・リアル店舗での食材販売とネットでの食材販売の在庫データの共有
・店舗受け取りの決済をECサイトで行ってもらう
ECサイトへの集客
最初にやるべきことは飲食店の今までのユーザにECサイトを告知することです。新型コロナの影響で来店することが難しくても、ネットで購入することはできます。あなたのお店の味を知っているユーザなので、ECサイトでも購入してくれる可能性は高いです。ユーザリストがあればメールやLINEなどで告知できますが、リスト管理していない場合は商圏となるエリアにポスティングなどのアナログの方法でECサイトの告知をすることも考えてください。
またEC特有の集客方法としてSNSの活用やリスティング広告などを利用して集客していきます。
こちらの記事などを参考にECでの集客を試してみてください!
▶︎あわせて読みたい
効果的なEC集客とは?0から分かるEC集客マニュアル【比較表付き】
リピート客になってもらう
販売して終わりではなく、安定的な売上を得るためにリピート客になってもらう必要があります。
飲食店の秘伝のタレなどをおまけとして同梱して、毎回おまけがランダムに変わりますとすれば興味を持ってリピートしてくれるかもしれません。ポイントやクーポンを発行してユーザの再度の購入意欲を高めることも一案です。
成功事例
飲食店でECサイトにビジネスを展開した事例をご紹介します。
フレッシュつばめ便
株式会社つばめが運営している「つばめグリル」のオンラインショップです。
2021年1月16日にオープンしましたが、生産のキャパシティを超える注文が入り一時オーダストップするほどの人気となっています。レストランと同様に保存料、化学調味料を一切使用せずに国産の食材で調理したものを即冷凍して、フレッシュな状態で食べて頂くために迅速にユーザに届けて、あえて賞味期限を1ヶ月半と設定しているというもの。
人気の「つばめグリル」のメニューが美味しさそのままに自宅で食べられるのが人気になっているのでしょう。
URL:https://tsubamegrill.myshopify.com/
車街酒場WAO!
焼き鳥居酒屋「車街酒場WAO!」が立ち上げたECサイトです。「じっくり煮込んだスペアリブ」のみの販売を行っています。スペアリブの販売をECサイトで行うに当たって、管轄の保健所に相談すると、惣菜製造業の許可が必要だったが、一つの営業所に複数の営業許可を与えることは出来ないという回答だったそうです。
打開策として近くのそうざい製造業の許可を持つ精肉店に交渉してスペアリブを製造してもらうことにして解決したとのことです。新型コロナが発生した直後でも、一日に十数個の売上を上げたようです。
URL:https://waotoyota.thebase.in/
Bistro Plein
株式会社PLEINが運営しているフレンチビストロ「Bistro plein」のオンラインショップです。
新型コロナで店舗の売上げに影響が出てきた2020年3月からオンラインショップの準備を始め、緊急事態宣言下の2020年4月26日にオープンしています。精肉業者と業務提携して店舗の人気メニューをオンラインショップで販売しています。
キッシュを10日間で1500個販売したようです。
URL:https://bistroplein.official.ec/
まとめ
飲食店がECサイトをオープンすることは新型コロナの影響を回避するための打ち手の一つですが、リソースの有効活用と売上拡大を図るという前向きの部分があることを認識する必要があります。国民の健康を守るため、日本の食品衛生法は厳格に定められています。保健所から許認可がおりないという場合もありますが、オーナーの方は他の店舗と提携をして乗り切ったりして工夫されています。そういった、創意工夫をすることによって新たなビジネスチャンスを手にしている飲食店があることも事実です。今回の記事を参考にして、飲食店のEC化を目指してください。