商品やサービスをセット販売することで、利益を得られるだけではなく、経費や在庫削減などの効果を得られます。
しかし、「セット販売ってそもそも何?」「セット販売を実施するメリットとは?」と考えている人も多いでしょう。
そこで本記事では、セット販売やバンドル効果の概要、商品販売施策の例を解説します。セット販売を実施する考え方やメリット・デメリットについても紹介します。
「セット販売は本当に効果あるの?」
「セット販売を実施する上での考え方を知りたい」
「具体的にどのようなセット販売を実施するべき?」
などとお考えの担当者には必見です!
目次 1. セット商品販売とは? 2. バンドル販売とは? 3. セット商品販売施策例 4. セット商品販売の考え方 4-1. 利益率の高い商品と低い商品を合わせる 5-1. 消費者の購買意欲が上がる 7. まとめ |
セット商品販売とは、ある商品・サービスと他の商品を組み合わせて販売することを指します。消費者が欲しがる商品をセットにして販売すれば、販売者側・消費者側のいずれも得となる販売手法となることが特徴です。
また、セット販売は単純に商品の価格を割引して販売するよりも、施策の幅が広いです。通常の商品割引よりも消費者に対してお得感を与えることができるため、積極的に実施することで、売上アップが見込めます。
さらに、セット販売は複数の商品を販売する手法となるため、効果的に在庫削減が可能です。実店舗・ECサイトいずれもセット販売を実施していることが多く、一般的な販売方法の一つと言えるでしょう。
バンドル販売とは、一つの商品をバラ売りするよりも、セットにして販売した方が売上を高められる方法のことです。バンドル販売をもとにセット販売することで、消費者に対してバラ売り以上にお得感を与えられます。バンドル販売を活用すれば、店舗にとっても客単価が上がり、売上アップにも有効です。
例えば、飲食店では単品商品を組み合わせて「〇〇セット」として販売するケースが多いです。複数の商品をセットにして販売することで、消費者にはお得感を与えつつ、販売店側は効率的な売上アップを実現しています。セット商品のなかに利益率が高い商品と低い商品を混ぜることで、バランスを取りながら利益の増加が可能です。
主なセット商品販売の施策事例は、以下の通りです。
・定額固定
・低率割引
・定額値引
それぞれ順に解説します。
定額固定とは、一定の個数をセットとし、バラ売りよりも安く販売する方法です。同じ商品でも種類を複数展開している場合は、定額固定を用いることが多いです。例えば、「お好きな商品を3つ選んで1000円」などが、定額割引にあたります。
定額固定は商品をバラ売りで購入するよりもお得な金額に設定することで、消費者に選んでもらいやすくなります。特に単価の低い商品は定額固定で販売すれば、顧客単価の向上に繋がるでしょう。
定率割引とは、複数の商品を同時に購入することで、一定割合で割引するセット販売の施策です。
定率割引は単価の低くない商品を対象とすることで、消費者に対してお得感を与えられます。
例えば、「2つ購入すれば10%OFF」や「対象商品3つ購入で3つの料金無料」などが、定率割引にあたります。期限が近い商品やシーズン商品など、在庫をできるだけ早く無くしたい場合には最適な割引方法と言えます。
また、定率割引は購入個数ごとに割引率を上昇させれば、より効果的に販売個数を増加できます。積極的に売り出したい商品を定率割引の対象にすることで、より販売率を高められるでしょう。
定額値引とは、購入個数ごとに値引を設定して商品を販売する方法です。
購入個数に応じて割引金額を大きくすることで、消費者の購買意欲を高められます。例えば、「3つ購入すれば1,000円OFF」や「対象商品なら5つ選んでも3,000円」などが、定率値引にあたります。
また、定額値引は対象商品を幅広く設定できるため、消費者の希望によって組み合わせを作れます。事業者側で商品を指定することなく、消費者が希望する商品を選択できるため、購買意欲を高めることが可能です。
商品をセットで販売する際は、以下の考え方を持っておく必要があります。
それぞれ順に解説します。
商品をセット販売する際は、利益率の高い商品と低い商品を組み合わせ無いようにしましょう。セット販売と同様の意味と捉えられがちな手法として「抱き合わせ販売」が挙げられます。
抱き合わせ販売は「消費者がほしがる人気の商品を、消費者のほしがらない商品と一緒に販売する行為」のことで、独占禁止法により「不公正な取引方法」の一つに認定されているのです。
例えば、常に人気の商品といつも売れ残っている商品を一つの商品として販売する行為は抱き合わせ販売と見なされます。セット販売と抱き合わせ販売を勘違いしていると、独占禁止法に抵触するため注意が必要です。
そのため、セット販売を実施する際は「消費者に不利益を与えない」ことを重視しましょう。店舗側の利益だけではなく、消費者に対しての利益を考えることで、抱き合わせ販売の実施を防げます。
セット販売を行う際は、バラ売りよりも付加価値を与えるようにしましょう。付加価値の無いセット商品は、単純にバラ売りしている商品をまとめているだけです。セット商品にしかない価値がなければ、ユーザーに購入してもらうことはありません。
例えば、「同じ商品を3つ購入することで500円OFF」や「Aセットを注文することで味噌汁を追加」など、単品商品を購入する際には無い新たな価値を与えることで、ユーザーは満足感を得て商品購入に繋がります。
また、セット商品に付加価値を与える際は、一般的な内容だけではなく独自性を与えることも重要です。競合他社と同様のセット販売商品だけだと、顧客獲得は難しいでしょう。自社の強みや他社には無い商品と組み合わせることで、効果的に顧客獲得も期待できます。
客のニーズをくみ取ったセット販売をすることで、ばら売りのとき以上の付加価値を顧客に提供することが可能
商品をセット販売する場合、ユーザーのニーズを見据えた戦略を展開することが重要です。単純に取り扱っている商品をセット販売しても、ユーザーニーズに刺さっていなければ購入してもらえません。セット販売した商品を購入してもらうためには、ユーザーニーズを汲み取り、バラ売りの時以上の付加価値を顧客へ提供する必要があります。
ユーザーニーズを掴んでセット販売を成功させるためには、大衆に向けた商品ではなく、顧客イメージを具体化すると良いでしょう。顧客の性別・年齢・規模を想定してセット販売を始めることで、顧客が欲しがる商品を展開できます。
商品をセット販売するメリットは、以下の通りです。
それぞれ順に解説します。
セット商品は消費者の購買意欲を高めて、購入率をアップできるメリットがあります。バラ売りでは購入しない商品でも、セット商品としてお得感を出して販売することで、購入へ繋げることが可能です。
特に単価の低い商品は消費者に購入の意識がなければ、購入に繋げづらいです。そこで、セット販売を実施して、消費者に対して購入をアプローチすることで、購入を考えていなかった商品でも目につかせられます。
例えば、靴下1足350円を販売していても手に取ってもらえる可能性は低いですが、3足セット1,000円で販売すれば「バラ売りよりも安いし購入しようかな」と考えてもらえます。消費者の購買意欲を上げることで、バラ売りでは手にとってもらえない商品も効果的に販売できます。
企業側は在庫数を調整できるだけでなく、利益も上げることができます。
セット販売は状況に応じて、在庫の削減をすることが可能です。バラ売り商品を単品で販売していても、在庫を減らすまでに時間がかかってしまいます。
また、シーズン商品や人気がなくなってきた商品の在庫を処分する場合は、一気にセールをかけて販売するケースが多いです。しかし、セールは競合他社も同時期に実施することが多いため、割引率を高くしなければ、効果的に在庫を処分できないデメリットがありました。
一方、セット販売は単純に販売件数が多いため、バラ売りより効果的に在庫を削減できます。さらに、セット商品にセール割引を適用すれば、消費者に対して通常以上にお得感を与えられます。無理に割引率を高めることなく在庫削減と販売量を増やせるため、メリットの多い販売手法と言えるでしょう。
セット販売はバラ売りよりも商品数が多いことから、顧客単価の向上が見込めます。バラ売りのみで商品を販売する場合、1回の購入における客単価を上げるためには、複数の商品を購入してもらったり、商品価格を上げたりする必要があります。
しかし、別々の商品を複数購入してもらうには、セールや割引を積極的に実施する必要があります。商品価格のアップも適正値段でなければ、顧客が離れてしまうリスクがあるでしょう。
一方、セット販売は複数の商品を一つにまとめているものの、消費者に対してお得感を与えることでバラ売りよりも購入を促しやすいです。バラ売りを戦略的に展開することができれば、セールや商品価格を高めることなく客単価アップできるでしょう。
セット販売には、さまざまな商品の露出機会を向上させるメリットがあります。バラ売り中心で商品を展開している場合、人気商品を積極的に前へ出すため、人気の無い商品や購入頻度が低い商品は露出が減少してしまいます。
どれだけ良質な商品でも顧客から目につかなければ購入してもらえないため、商品露出の低下は大きなデメリットと言えます。しかし、セット商品を積極的に展開することで、人気商品以外も露出機会が増えるため、購入の可能性を高めることができます。
また、商品の露出機会増加によるリスクはありません。顧客の目につく回数が増えるほど購入に繋げられるため、セット販売を実施する大きなメリットと言えるでしょう。
セット商品販売を実施する際は、以下のデメリットに注意しましょう。
それぞれ順に解説します。
商品をセット販売する場合、倉庫内業務が複雑化するデメリットがあります。単品商品のみを取り扱うのと比べて、セット商品は複数の単品商品を組み合わせることが多いため、データ上では管理がしづらい傾向にあります。
例えば、単品の「商品A」と単品商品Aの3つセット「商品B」がある場合、ECサイト上では同じ内容でも商品Aと商品Bは別々の商品として登録されます。ただし、販売している内容は同じであるため、商品Bが売れると商品Aの在庫が3つ減った計算が必要になることで、倉庫内の在庫管理が複雑化してしまうのです。
また、特定の商品のみをセット販売する場合はスムーズに管理できることが多いものの、ジャンルが同じで内容が違う商品を組み合わせる定額値引などは、より在庫管理が複雑化します。
そのため、セット販売を実施する際は、あらかじめ商品販売・在庫管理に関して明確なルール付けが必要です。在庫管理を誤ってしまうと、欠品や棚卸のタイミングで数量が合わなくなるため注意しましょう。
セット販売自体にリスクはありませんが、場合によっては販売機械の消失を招く恐れがあります。展開するセット商品の在庫数が適切に管理できていなければ、顧客のニーズとずれてしまい大幅に販売機会が減少します。
例えば、単品として人気の商品「商品A」と商品Aをセットにした「商品B」を販売した場合、顧客のニーズに合わないことから、商品Bは売れ残り商品Aの売上が低下する可能性が高いです。
特に単品商品として人気が高い場合は、本当にセット商品として販売することが最適なのか調査する必要があります。顧客のニーズを適切に把握できていなければ、販売機会が失われてしまうため注意しましょう。
以上、セット販売やバンドル効果の概要、商品販売施策の例を解説しました。
セット販売は消費者の購買意欲の向上や在庫の削減など、さまざまなメリットが期待できる販売手法です。ただし、セット販売と抱き合わせ販売は手法が大きく異なります。抱き合わせ販売は独占禁止法で違法と定められているため、誤って実施しないようにしましょう。
また、セット商品を増やしすぎると在庫管理が複雑化したり、販売機会が消失する恐れがあります。顧客のニーズを把握し、適切に管理してセット商品を展開することで売上アップが目指せるでしょう。
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