- トップ
- 試着で売り上げアップ?EC試着のメリットから施策まで徹底解説
試着で売り上げアップ?EC試着のメリットから施策まで徹底解説
実店舗でアパレル商品を購入する際は、試着してから購入を決定するケースが多いです。商品を試着することで実際の使用感や質感、具体的なイメージを掴むことができます。一方、ECサイトでは事前に試着できないことから、顧客が不満を抱いてしまう可能性が高いです。
そのため、「アパレルECサイトは試着できないけど、どうやって顧客の不満を解消すればいいの?」といった疑問が出てくるでしょう。そこで本記事では、アパレルECの返品率や顧客の不満、試着に関する不満を解消する方法を解説します。
「アパレルECはどの程度返品されているの?」
「具体的に顧客はアパレルECにどんな不満を抱いているの?」
「ECで試着を実現するためにはどうすればいいの?」
などとお考えの担当者には必見の記事です!
1. アパレルECの返品率 2-1. 実際の商品がイメージと違う 2-2.着用感・使用感がわからない 2-3. 服のモデルの体型が実際のモデルとかけ離れていてイメージしづらい 3-1. 購入率が増加する 3-2. 顧客満足度の増加が見込める 3-3. リピート率・既存顧客の増加 3-4. 購入者の不満抑制 4-1. unisize(ユニサイズ) 4-2. Recustomer 5-1. バーチャルフィッティング 5-2. 試着サロン 5-3. 返品・交換をOKにする 5-4. ポップアップを開く 6. まとめ |
アパレルECの返品率
アパレルECは実店舗に比べて、返品率が高い傾向にあります。実店舗で購入された商品の返品率は例年平均8%前後に対して、ECサイトを通じて購入された商品の返品率は15〜30%と2〜4倍近くの数値となります。
特にアパレル業界では他の業界に比べても返品率が高い傾向にあり、平均返品率は30%程度にものぼります。実店舗で商品を購入する場合は、実際に商品を手に取った上で購入を決断するため、返品に至るケースは少ないです。
一方、ECで商品を購入する場合、テキストの商品説明と画像を確認することしかできません。そのため、商品が手元へ届いた際、イメージと異なることから返品率が向上してしまいます。
EC市場はアパレル業界を含めて全体的に需要が高まっているものの、イメージ通りの商品が届かなければ、返品率は向上する可能性が高いです。ECでの返品対応は非常にコストがかかる部分であり、人的コストなどを含めると大きく販売利益が減少してしまいます。
ECで売上を伸ばすためには、商品の質や販売方法だけではなく、返品率の減少を目指すことが重要と言えるでしょう。
アパレルECサイトにおける顧客の不満
株式会社エートゥジェイはアパレル・ファッション業界において、ECサイトの不便・不快を調査した結果、返品が発生する理由トップ5内、大半がイメージ関連であることがわかりました。
具体的に、株式会社エートゥジェイが発表したアパレルECサイトにおける、返品が発生する理由トップ4は以下の通りです。
・実際の商品がイメージと違う
・着用感・使用感がわからない
・服のモデルの体型が実際のモデルとかけ離れていてイメージしづらい
・商品採寸が不十分で細かいサイズ感が分からない
下記にて、それぞれ順に解説していきます。
実際の商品がイメージと違う
株式会社エートゥジェイの調査結果によると、実際に届いた商品がイメージと違うと回答した顧客は、34.5%にのぼります。
ECサイトでの商品購入は、実際に触れたり試着したりしないため、イメージと異なるケースが多いです。例えば、裾や丈の長さなどは、実際に試着しなければ判断が難しく、商品画像やモデルの試着画像だけでは、誤ったイメージを抱いてしまいます。
イメージしていた内容と異なる商品が届いた場合、顧客へ著しい不信感を与えてしまう可能性が高いです。
また、商品の画像や口コミから購入を判断するため、イメージの違いを大きく感じる傾向にあります。普段から店舗でアパレル商品を購入している顧客にとっては、不満となる原因と言えるでしょう。
着用感・使用感がわからない
同社の調査結果によると、着用感・使用感がわからないことに不満を感じた顧客は、全体の28%となります。
服のサイズは購入する顧客によって大きく異なるため、試着しなければ自分に合ったサイズかわからない場合も多いでしょう。
また、アパレル商品には実際に試着してみなければ感じられない使用感があります。実店舗で着用感や使用感を確認してから購入を決定する顧客にとって、ECサイトは不満を感じる可能性が高いです。
服のモデルの体型が実際のモデルとかけ離れていてイメージしづらい
同社の調査結果によると、服のモデルの体型が実際のモデルとかけ離れていてイメージしづらいと回答した割合は、全体の31%となります。アパレルECサイトで商品を購入する際は、商品画像が大きな判断材料です。
アパレルECサイトの商品画像は、商品単体ではなくファッションモデルが身につけている画像が用いられています。ECサイトでは試着できないことからモデルが商品のサイズ感や客観的な見え方を表していますが、顧客の体型とかけ離れている場合は参考になりません。
一般的にファッションモデルは細身の体型であることが多いことから、ふくよかな体型の顧客は着用感をイメージしづらいでしょう。そのため、モデルと顧客との間に発生する体型の違いを原因とした、ECサイト上の不満も存在します。
商品採寸が不十分で細かいサイズ感が分からない
同社の調査結果によると、商品採寸が不十分で細かいサイズ感が分からないと回答した顧客は、全体の28%にのぼります。
一般的に日本ではアパレル商品のサイズをS・M・Lと表記することが多いです。実店舗で商品を購入する場合は、いつも選択しているサイズを試着すればサイズ感を把握できます。しかし、ECサイトで購入する場合は、試着できないことから簡略化されたサイズ表記では、自分に合ったサイズをうまく見極められません。
アパレル商品は販売する企業・ブランドによって、サイズが異なる可能性が高いです。例えば、A社とB社のMサイズ商品は、必ずしも同じではありません。いつもと同じ感覚で商品をECサイトで購入すると、サイズのアンマッチが起こります。
そのため、アパレルECサイトで商品採寸の情報が不十分の場合は、サイズ感がわからないため顧客から不満が発生します。顧客からの不満を避けるためには、できるだけ正確な商品採寸情報をサイト上に表記し、適切な体型のモデルを採用する必要があるでしょう。
ECで試着を実現するためには?
アパレルECサイトで試着を実現する方法は、大きく分けて以下の4つです。
・バーチャルフィッティング
・試着サロン
・返品・交換をOKにする
・ポップアップを開く
それぞれ順に解説します。
バーチャルフィッティング
ECサイトで試着を実現するなら、バーチャルフィッティングがおすすめです。バーチャルフィッティングとは、専用デバイスを用いて店舗に行くことなく服を試着するサービスです。
試着はデータやデバイス上で行うため、店舗に行く手間だけではなく服を着替える工数も減らせます。バーチャルフィッティングを利用することで、自宅や外出中など好きなタイミングでECサイト上の服を試着できます。
また、バーチャルフィッティングは大人だけではなく、子供にも対応しているため、試着が苦手な子供でもスムーズに試着が可能です。顧客に対して手間を減らして試着できる体験を提供でき、運営側は実店舗の試着室を無くしたコストダウンやECサイトの売上増加を狙えます。
ただし、バーチャルフィッティングは全てのECサイトで対応しているわけではありません。多くのECサイトはバーチャルフィッティングシステムを導入しておらず、画像や口コミ掲載をメインとした業態となります。
ECサイトへバーチャルフィッティングシステムを導入するためにもコストがかかるため、売上や運営コストに照らし合わせて判断が必要でしょう。
バーチャルフィッテイングに関して詳しくは下記記事にて記載してありますので、気になる方はご参考にしてください
▷バーチャルフィッティングとは?メリットから成功事例まで徹底解説!
試着サロン
試着サロンと最新技術を組み合わせることで、ECサイトでも試着を実現可能です。試着サロンとは、商品販売ではなく試着を専門とした店舗を指します。顧客に商品のサイズ感や着心地を体験してもらうことで、商品購入へとつなげることができます。
一般的にはポップアップや期間限定ショップとして出店し、新商品やブランドについての認知度向上と店舗来店に用いられることが多いです。そこで、試着サロンにECサイトへアクセスできるQRコードを設置し、試着後に気に入った商品を購入できるようにすることで、サイズ感や着用感のミスマッチを無くせます。
試着後に興味がある商品はECサイトのカートへ入れておけば、試着サロンから出た後でも簡単に購入手続きが可能です。もちろん、試着サロンに設置してあるQRコードを読み取った後すぐに購入できます。
試着サロンと最新技術を組み合わせることで、アパレルECサイトにおける顧客が抱える最大の不満を解決できる可能性があるでしょう。
返品・交換をOKにする
返品・交換をOKにすることで、ECサイトの試着を実現できます。バーチャルフィッティングや試着サロンに比べて顧客側・運営側も手間がかかるものの、一定期間は返品・交換を無料にすることで、顧客の「サイズが合わなかったらどうしよう」といった不安感を払拭できます。
実際に靴を中心に販売する「LOCOND」では、サイズ交換は商品発送から14日間、返品は商品発送から21日間なら無料で受け付けています。返品条件も土足で歩かない、新品同様の状態を保つなどと、比較的良心的な内容となります。
このように、商品購入後でも返品・交換を受け付けることで、実質的にECサイトでの試着を実現可能です。試着できない不満を解消し、売上アップに繋げられるでしょう。
返品・交換を寛容にする返品ポリシーの書き方などを下記記事にで詳しく記載しているので、参考にしてください
返品ポリシーとは?売上に直結する返金ポリシーの重要性や成功事例まで徹底解説!
次に、おすすめ返品・交換サービスをご紹介します。
ポップアップを開く
ECサイトで取り扱う商品のポップアップを開くことで、試着を実現できます。ポップアップとは、期間限定で実店舗を出店することを指しており、商品やブランドの認知度獲得のために用いられることが多いです。
バーチャルフィッティングでは手軽に試着できるメリットがあるものの、商品の質感や着心地は確認できません。一方、ポップアップを開くことで、ECサイトでは感じられない商品の質感やサイズ感を確認できます。
さらに、試着サロンは試着とECサイトでの商品購入がメインとなるため、店舗で商品を購入できないデメリットがありました。ポップアップならECサイトだけではなく、その場で気に入った商品を購入できるため、顧客の状況に合わせて売り上げを最大化できるでしょう。
ただし、ポップアップは期間限定であり、出店するまでに人的リソースやさまざまなコストが必要です。簡単に出店できないデメリットがあるため、運営状況や戦略に合わせて展開を検討すると良いでしょう。
EC試着を実現させるおすすめサービス2選
EC試着の導入に向けて、おすすめのサービスを2選ご紹介します。
それぞれに特徴がありますので、自社の商品や消費者に合ったサービスを活用するといいでしょう。
unisize(ユニサイズ)
オンラインでサイズのフィッティングができる「unisize(ユニサイズ)」。
写真を撮るだけで「AI写真採寸」ができたり、1分間のアンケート入力でピッタリサイズを提案してくれます。
自分の体型が表示され、商品のサイズがどのようなサイズになるのかを画面上で見せてくれる仕組みです。サイズ感がわかりやすくなっておすすめのサービスです。自分をモデルにして、いろいろなサイズが試せる点が良いでしょう。
サイズ選びが難しい商品、サイズや商品展開が多い場合に活用するとおすすめです。
商品名 |
unisize(ユニサイズ) |
開発元・販売元 |
株式会社メイキップ |
公式サイト |
|
費用(税込み) |
初期費用:無料 Fit数あたり11,000円〜 |
Recustomer
RecustomerとはRecustomer株式会社が開発・運営している「返品・交換・キャンセル自動化ツール」です。業務を自動化することで、時間とコストの削減や顧客体験の向上を実現します。 返品・交換や注文キャンセル依頼の受付・承認から、メール返信、返金作業、交換商品の在庫確認、在庫引き当て、キャンセル時の発送停止などの業務を自動化します。
主な機能は以下になります。
・注文キャンセルの自動化
・返品、交換の自動化
・自動集荷機能
・WMS、CSツール連携
・返品(返金)、交換の自動化
購入者はECサイトと連携した返品フォームより、注文番号などの必要情報を入力しアクセスした後
返品商品や返品理由などを選択するだけで簡単に返品リクエストを送ることができます。
EC事業者は、受け付けた返品リクエストを顧客情報・注文情報が紐づいた状態で管理することができ、ステータスを変更することで、購入者に次のアクションを依頼する自動メールが送信されます。
また、事前に返品・交換の承認または拒否のロジックを設定しておくことで、ほとんどの返品リクエストに対して自動で対応することができます。
・注文キャンセルの自動化
購入者はECサイトと連携したキャンセルフォームより、キャンセル理由を選択するだけで簡単にキャンセルリクエストを送ることができます。
キャンセルリクエストを受けると、自動で配送ステータス状況を参照し、配送前の場合に自動でキャンセル処理を行います。また、Shopify paymentを利用している場合、自動で返金処理まで行います。
・自動集荷機能
配送業者と連携することにより、ボタン一つで集荷を手配することができます。購入者の返品業務の負担を軽減することで、顧客体験の向上を実現します。
・WMS・CSツール連携
自動出荷システム「LOGILESS」クラウド型カスタマーサービスツール「zendesk」などの連携ができます。これにより、交換商品の出荷指示や在庫管理の自動化、チケット管理の一元化が可能になります。
商品名 |
Recustomer |
開発元・販売元 |
Recustomer株式会社 |
公式サイト |
|
費用(税込み) |
ご利用料金は、ご利用になる機能、返品数、連携カートなどによって変動いたします。(14日間無料トライアル付き) |
EC試着を導入するメリット
EC試着を導入するメリットは、大きく分けて以下の4つです。
・購入率が増加する
・顧客満足度の増加が見込める
・リピート率・既存顧客の増加
・購入者の不満抑制
それぞれ順に解説します。
購入率が増加する
EC試着を導入することで、購入率が増加するメリットがあります。EC試着を実現することで、これまで顧客が感じていた試着できない不安を払拭できるため、スムーズに購入へ促せるでしょう。
また、バーチャルフィッティングやポップアップによるEC試着を展開することで、顧客との接点が増えて商品購入まで繋げやすくなります。顧客に対して複数の選択肢を提供することで、最適な手段を選べます。
さらに、運営側も実店舗の試着室や人的リソースを削減できるため、全体的なコストダウンが可能です。EC試着に対してより多くのコストをかけることで、購入率増加を後押しできます。
顧客満足度の増加が見込める
顧客に対して複数の選択肢を提供することで、購入率増加だけではなく顧客満足度の増加が見込めます。例えば、EC試着を導入しない場合、商品を試着してから購入したいと考えている顧客にはうまくリーチできない可能性が高いです。
一方、EC試着を導入することで試着したいと考えていた顧客に対してもアプローチできるため、顧客満足度の増加が期待できます。新規顧客だけではなく、新たな選択肢の増加によって既存顧客からの満足度も高められるでしょう。
リピート率・既存顧客の増加
EC試着を導入することで、リピート率・既存顧客の増加などのメリットがあります。EC試着は多くの企業が提供しているわけではなく、まだまだ導入企業・ECサイトは少ないのが現状です。
そのため、既存顧客に対して新たな選択肢を提供することで、顧客満足度を高めてリピート率を高められます。良質な体験を顧客に提供することで、新規顧客を既存顧客(リピーター)に変化させられるでしょう。
購入者の不満抑制
EC試着を導入することで、これまでECサイトでの商品購入に対して不満を感じていた購入者の不満を抑制できます。ECサイトでの購入者から不満が多い場合、既存顧客や新規顧客の離脱につながります。
もちろん、ECサイトでの商品購入に対して不満を感じた購入者は、既存顧客に変化することがないため全体的にマイナスです。
一方、EC試着を導入して購入者の不満を抑制することで、良い口コミや既存顧客の増加につながります。顧客に対して良質な体験を提供し続けることができれば、全体的に売り上げ増加が見込めるでしょう。
まとめ
以上、アパレルECの返品率や顧客の不満、試着に関する不満を解消する方法を解説しました。
アパレルECサイトでは商品を試着できない点やイメージしていた内容と異なることから、顧客は不満を感じています。EC試着を導入することで、顧客が感じる不安を減少できる可能性が高いです。