ECサイトにて服を購入する際の懸念点として、試着ができないという問題が挙げられます。
株式会社エートゥジェイの20代~50代の男女200名を対象にした調査によると、「実物の商品がイメージと違う」「写真を見てもサイズ感がわからない」「着用感・使用感がわからない」という項目がトップ3に入っており、このことから、ECサイトでの商品と実体験との乖離を減らすことがアパレルECにおいて最も重要な施策だと言えるでしょう。
そこで本記事では、この課題を解決する施策と言われていてバーチャル試着(バーチャルフィッテイング)についてメリットからオススメサービスまで詳しく解説していきます。
「バーチャル試着(バーチャルフィッテイング)って何?」
「バーチャル試着(バーチャルフィッテイング)を導入するメリットとは?」
「バーチャル試着(バーチャルフィッテイング)の成功事例やサービスを知りたい」
という方に必見に記事です!
目次 1-1. バーチャル試着(バーチャルフィッティング)の仕組み 2-1. 企業側のメリット 2-2. 消費者側のメリット 3-1. ウォルマート 3-2. amazon 3-3. 渋谷パルコ 3-4. SHOPLIST 4-1. FittingRoom 4-2. unisize(ユニサイズ) 4-3. Virtual Palette 5. まとめ |
バーチャル試着(バーチャルフィッテイング)システムとは、アパレル業界で、今注目されている新しいデジタル試着システムのことです。AR(拡張現実)機能を用いることで、商品を試着したかのように画像が重なって見えるシステムのことを指します。
現状のアパレルEC の課題として、その返品率の高さが挙げられます。
ECサイトの返品率は、実際に実店舗よりも高い傾向にあり、実店舗では平均8%前後の返品率に対し、ECサイトでは15~30%程度の高い返品率となっています。
特にアパレル業界での返品率は高く、30%程度の返品率が平均と言われています。
このバーチャル試着システムは、商品のイメージが付きやすく、アパレルECサイトでの課題を解決する施策であるとされており、現在注目を集めています。
次に、バーチャル試着(バーチャルフィッテイング)の仕組みについて解説していきます。
まず、アプリなどを使って自分の画像をカメラで撮影します。そして、商品の3Dデータを読み込みます。自分の画像に、商品画像が重なり、試着しているような3D画像になります。正面からだけでなく、横や背面からの画像の試着画像も確認することができる仕組みです。
ECサイトだけでなく、実店舗でもサイネージなどで大画面で見ることができるようにシステムが活用されています。
このバーチャル試着システムによって、色やサイズが自分の画像とともに確認できます。実際に自分が着た時の雰囲気やサイズが確認できるのが特徴です。このシステムの活用によって、返品率を下げる解決策になっています。
続いて、バーチャル試着システムのメリットについて、企業側と消費者側の両視点から解説していきます。
企業側のメリットですが、返品率が下がることが最も大きなメリットと言えます。
実際に合わせてみないと分からない色やサイズ感が画像で確認でき、届いた時のイメージとの乖離を減らすことが可能です。
また、「実際に合わせないと購入するのが不安」という消費者に購入してもらえるようになります。
消費者の不安を軽減でき、ECサイトでの購入を抵抗なく楽しむ人が増えるでしょう。
そして、気軽に試着できる機会が増えることによって、購入層も拡大していきます。
さらに、実店舗の場合には、試着スペースが削減できることや試着のための接客の時間、試着でお待たせする時間などもなくなります。店舗のスペース削減、人件費削減などになって、経費率が下がるでしょう。
そして、バーチャルフィッティングによって、顧客一人一人に細かく対応が可能になります。個々のニーズに合わせて、商品を提案したり、選択をしたりしてもらうことができ、接客の人件費は減らせ、売上が上がることが大きなメリットとなります。
消費者側のメリットですが、気軽にいろいろな試着が試せる点が挙げられます。
たくさんの試着が気兼ねなく行え、色違いなども多く試すことが可能です。
実際に試着室で試着する際の時間や手間が省け、サイズ違いや色違いなどを試す場合も、バーチャルフィッティングならば簡単にできます。
また、ECサイトと実店舗での購入にあまり差を感じなくなるため、わざわざ出掛けて実店舗に行かなくても、いつでもどんな時間でも自分の部屋で試着できるようになるのがメリットであり、忙しい消費者にも便利な機能となります。
そして、消費者にとっても、バーチャルフィッティングは、新しいショッピングの形としてショッピングの楽しみを与えてくれるでしょう。人によっては、試着が苦手、接客を受けるのが苦手という人もいます。
また、「自分に合うものがない」「どんな洋服が似合うのかわからない」「サイズや色、素材、デザインの選び方もわからない」という人もいます。試着もしたくないし、洋服もあまり買わないという人がいるでしょう。そうした消費者に、新しいバーチャルフィッティングというスタイルは、抵抗が少なくておすすめです。
自分だけで試せ、また洋服選びのサポートも自動でしてもらえるなどのメリットがあります。
さらに、自分に向いている自分らしいファッションを探すのにもバーチャルフィッティングが役立ちます。多くの洋服を試すことができますので、どれが似合っているのかを確かめて自分らしいものを見つけることが可能です。選択肢が広がると同時に、自分らしく楽しむことができるメリットがあります。
ここからは、実際にバーチャル試着システム(バーチャルフィッティングシステム)の導入をして成功している事例を4つご紹介します。最近になって、導入して成功している事例が多くありますので参考にしてください。
アメリカのアーカンソー州に本部がある世界最大のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」の事例です。ウォルマートは、2021年バーチャル試着室プラットフォームの「ジーキット(Zeekit)」を買収しました。
約50人のモデルの中から自分に近い身長や体型、肌や髪色などを選んで、アプリ上で試着できるようになっています。そして、さらにモデルの人数を大幅に追加していくことが計画されています。
これまで、ECサイトでは、一人のモデルが試着をしていることが多く、モデル体型の人が着ている場合には自分で着たイメージとは異なる場合も多かったでしょう。その問題を解決できるように、自分に近いモデルを選ぶことが可能です。
また、「ジーキット(Zeekit)」には、自分の写真をアップロードし、バーチャルフィッティングする機能も備わっているため、ウォルマートはこの機能の追加も予定しています。
Amazonはスニーカーのバーチャル試着サービスを始めています。iOS版アプリで、バーチャルで靴を試し履きできる「Virtual Try-On for Shoes」のサービスがスタートしています。
アプリを起動してカメラで自分の足元をスマートフォンで写し、試したい靴の写真をタップするとAR空間でその靴を履くことができます。様々な角度から靴を履いた画像が見られて便利です。
また、Amazonはアパレル店舗を2022年後半に開設予定です。そこでは、店舗の試着室でタッチスクリーンで好きな商品を次々と試着して購入することができる新しい店舗形態も考えられています。
渋谷パルコは、デジタルとリアルな実店舗の両方の体験ができる新しい形態が注目されています。実店舗にあるもの以外にも、他の多くの商品をサイネージやタブレットで検索可能です。そして、検索した商品はオンラインで購入可能なのも特徴的です。実店舗での在庫を減らし、たくさんの商品を見てもらうには、オンラインでという切り分けをしています。
また、「FXMirror」と呼ばれるバーチャル試着システムも導入。仮想フィッティングミラーの前に立つことで、自分のサイズが自動的に採寸され、3Dアバターが作られ、そのアバターが試着をしてくれます。バーチャルフィッティングシステムを楽しむ体験ができる場所となっています。
また、SHOPLISTでは、「bodygram」と言われるサービスを世界初で導入しています。高精度身体採寸テクノロジーで、4つの情報入力(身長・体重・性別・年齢)と2枚の全身写真で高精度の採寸を可能にしています。採寸データに基づき、それぞれに合ったサイズや商品サイズを表示するシステムで、三次元のバーチャル試着が可能です。
「サイズが合わない」「自分に合ったサイズが分からない」という人には画期的なおすすめのバーチャル試着システムです。それぞれの消費者に合わせた提案型の販売ができるようになっています。
バーチャル試着サービス(バーチャルフィッティング)の導入に向けて、おすすめのサービスを3選します。
それぞれに特徴がありますので、自社の商品や消費者に合ったバーチャル試着サービスを活用するといいでしょう。
Virtusizeが開始した新サービス「FittingRoom」は、オンラインショッピングでの「お気に入りの1着探し」をサポートするサービスです。
オンライン試着ソリューション「バーチャサイズ」を用いてサイズ感の合う、それぞれの体型に合ったシルエットのアイテムを探す「マイサイズ」機能があります。また、こだわり条件によって絞り込むことができる機能もあって、商品選びをサポートします。
これまでの接客サービスに代わるものとして、「FittingRoom」は消費者に合わせた提案ができるものとして魅力です。接客をして商品をすすめることができるメリットを、このサービスを利用することでオンラインショッピングでも活かせます。
オンラインでサイズのフィッティングができる「unisize(ユニサイズ)」。
写真を撮るだけで「AI写真採寸」ができたり、1分間のアンケート入力でピッタリサイズを提案してくれます。
自分の体型が表示され、商品のサイズがどのようなサイズになるのかを画面上で見せてくれる仕組みです。サイズ感がわかりやすくなっておすすめのサービスです。自分をモデルにして、いろいろなサイズが試せる点が良いでしょう。
サイズ選びが難しい商品、サイズや商品展開が多い場合に活用するとおすすめです。
株式会社VRCと東芝テック株式会社が開発したバーチャル試着サービスのプロトタイプです。即時にボディスキャンができる装置「SHUN’X Apparel」とバーチャル試着アプリ「Virtual Palette」によってデジタル試着ができます。
「SHUN’X Apparel」では、実店舗の試着室やイベントなどでも活用でき、装置に入ると全身がスキャンされ、自分のアバターを作ることが可能です。
また、バーチャル試着アプリ「Virtual Palette」で3Dの洋服を着ることができ、スマートフォンのアプリで試着を試すことができます。
スキャン体験自体がイベント性が高く、体験自体を楽しんでもらえていいでしょう。
バーチャル試着(バーチャルフィッティング)についてご紹介してきました。
アパレル商品は、「色やサイズが合わない」「イメージと異なる」「自分に合うサイズがよくわからない」「自分にどんな商品が合うのかわからない」「実際に着てみないと選べない」などが多く、返品率が高いのが特徴です。
そのため、バーチャルフィッティングを進めることによって、自分に合ったものをより探しやすくなるシステムが有効です。返品率が下がり、多くの人にいろいろな試着をしてもらうことができるようになっていいでしょう。
スマートフォンで、気軽にいつでも試着をしてもらうことができるようになります。忙しくてショッピングができない人も利用できる確率が高くなります。また、実店舗で活用して、試着室や接客業務を減らすことも可能です。
バーチャルフィッティングによって、これからのアパレル業界でのフィッティングのあり方も変わってくるでしょう。試着の機会をさらに増やし、それぞれの消費者に合うものを個別に探すサポートができるシステムです。おすすめのバーチャル試着サービスを積極的に活用することを考えてみてはいかがでしょうか。
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