商品を購入した後のユーザーが行う返品方法や店側の対応は、国によって違いが存在します。そのため、「海外の返品事業ってどんな感じなんだろう。」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、日本の返品事情だけではなく、中国やアメリカなど海外の返品事情について解説します。
「日本の返品対応は海外から見てどうなんだろう。」
「アメリカやイギリスなど海外の返品事情を知りたい」
「日本と海外の返品事情の違いを知りたい」
などとお考えの担当者には必見です。
日本の返品事情
日本のECサイトの返品率ボリュームゾーンは返品率は5~10%であり、他国に比べてとても低いと言えます。
日本には、事業者は消費者の返品に応じる義務があるといった法律は存在しません。返品は店舗によるサービスにすぎません。例えば、「購入した服が気に入らないから返品したい」などの場合、日本では返品拒否されることが多いです。
つまり、日本では返品が出来かどうかは店舗を運営する側の判断に委ねられます。自己都合の返品は基本的に受け付けていないため、消費者はよく考えてから購入する必要があります。
海外の返品事情
EC市場をご存知でしょうか。インターネットを用いて行われる、物販取引での市場規模を示します。物販EC市場市場規模の統計は、2014年度から活発となり、注目すべきの市場1つです。新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、2021年7月には、もっとも高い伸長率となりました。
下記6つの国の返品事業について紹介します。
1. 中国
2. アメリカ
3. イギリス
4. 韓国
5. ドイツ
中国の返品事情
中国のECサイトの返品率ボリュームゾーンは返品率は約25%もあり、中国インターネット通販最大の販促イベント「双十一」の期間には60%を超える返品率を出すサイトもあるようです。
ネット通販の分野では、2014年3月に返品事項をとりまとめた法律が定められました。日本よりもずいぶん前に、先進的な取り組みを行っています。どのような規定が存在するのでしょうか。
中国には、「ネット通販、7日以内無条件返品暫定法」という、ネット通販の7日間以内の無条件返品を可能にする法律があります。
より詳しい内容を確認します。
物販事業者に、7日間以内の無条件返品義務を果たすことを約束しています。いつから日時を数えるかについてですが、消費者が商品を受け取った翌日からカウントを行います。
ここで注意すべきは、返品できない場合が存在するということです。大きく分けて2つのパターンに分けられます。
・開封した商品
・破損が確認できる商品
消費者のオーダーメイド品、生鮮品、開封したコンピューターやCD・DVDは返品できません。
商品を返品検討する場合は、よく思案してから開封しましょう。
破損した商品も同様です。具体的にみていきましょう。商品のパッケージが壊れた食品、ラベルが取られたおもちゃなど売り場へもう一度並べることが難しい場合、返品することが出来ません。
返品が認められた場合、料金はどうなるのでしょうか。
料金は原則、消費者が負担します。商品を送る場合は、売り手と消費者とが議論の上、決定します。しかし、消費者の返送方法を制限してはいけないと規定されているため、消費者に優しい規約となっています。
顔を見ずに購入できるネットビジネスの世界。多様化に先立ち、購買者と消費者を守るために法律で秩序をもたらしました。これが安全・便利・快適といった多くの人が安心して利用できるサービス基盤を整えています。
アメリカの返品事情
アメリカの実店舗での返品率は8%であり、ECにおける返品率は約25% です。
アメリカは国土が広いです。なんと日本の25倍の面積を誇ります。そのため、アメリカは州によって法律が異なります。アメリカには50州あり、そのそれぞれに別の法律が存在します。それが「多様国家 アメリカ」と呼ばれる所以です。今回は経済の中心であるカリフォルニア州の法律を取り上げます。
小売店が必ず返品を受け付ける義務はありません。すなわち、消費者が返品する権利が原則ないことを意味します。そのかわり返品以外の方法で、商品トラブルを解消することができます。代案として返品交換は行わずに、交換や購入商品と同額のクーポン券の提供が受けられます。
しかし、上記の提供をうけるためには、購入から7日間以内のレシートの原本が必要になります。レシートは、商品購入の大事な証拠となります。これは全世界共通の認識のようですね。
イギリスの返品事情
イギリスのリアル店舗での返品率は10%であり、ECにおいては25%もあります。
「返品の天国」「おもてなしが似合う国」そんなフレーズも似合うほど、消費者に優しい国がイギリスです。イギリスの返品への意識の高さを感じる7箇条をご覧ください。
1. ほとんど全ての小売店が返品保証の対象
2. 返品不可のお店にであったことがない(筆者談)
3. 気に入らない場合、返品可能
4. とりあえず2つ購入。気に入らない商品を返品が普通
5. 洋服は複数購入。実際に、試着して不満なものは返却
6. 購入ルートが違えど、返品可能(ネットで購入したものを店頭にて返品)
7. 返品専用のレジがある。レジには行列が出来ている
とても寛容、柔軟に対応されたスマートな対応です。返品理由も、レシートが必要であったり、1週間以内という規定はありません。「複数サイズを購入した為」という項目があらかじめ用意されています。日本も、このような返品姿勢を見習っていきたいところです。
韓国の返品事情
韓国のオンラインショップでの返品率は25%~30%となっており、実店舗での返品率と比べて3倍高いと言われています。特に、オンラインで購入した靴や衣類の返品率は約40%もあります。
韓国では安さを重視するよりも、サービスや品質がより重視される傾向にあります。
具体的には、どのようなサービスや品質向上に対する努力を行っているのでしょうか。今回は2つ取り上げます。
1. 郵便が国境を越えても、追尾できる機能を搭載しています。大手配送会社「コリアポスト」では日本郵便とサービス提携を行っています。そのため配送会社に「荷物がどこにあるのか」確認することなく、スマホ1つで商品位置情報を把握することが出来ます。
2. 商品がいかにはやく到着するかにも、チカラをいれています。商品が到着する時間は長く感じやすいです。手元に届く速さが、待機ストレスを緩和させるサービスへと繋がります。フェデックス・エクスプレスでは別料金にはなりますが、そういった不満を解決することができます。
販売する上で、成長の見込みがある国を先取りすることが重要となります。「本当に売却できるのか。海外は初めてのため、考査がしたい」という準備段階において韓国に販売経路も設けることは有効といえるでしょう。
ドイツの返品事情
ドイツでは法律で2週間の返品可能期間が認められています。
そのため、返品率が高く、あるサイトでは返品率が約50%にもなったという結果もあるようです。
ドイツでは配送ラベルこそ、返品事情の大きな特徴といえます。
それは「配送ラベルの手間がない」ことです。一体何がそこまで、魅力的なのでしょうか。
返品することになった際、あなたはどうしますか。
返品されたことがある方は、一度は経験したという方が大半でしょう。返品しようと重い腰をあげた際、TODOリストが立ちはだかります。まず配送ラベルを用意することから始まり、執筆して郵送する…言葉にすると、まとまった印象です。しかし、実際には、膨大な作業量だと感じる方もいるでしょう。作業量が原因で、返品が面倒で諦める方も多いのではないでしょうか。
ドイツでは、配送する手間が最短になるよう配慮がされています。商品に返品用ラベルが同封されており、販売サイトから返品ラベルのダウンロードが可能です。
ダウンロードしたラベルには、情報が既に記載されているため、こちらが記載する部分が少なく、文字を書くことに疲れることはありません。
「欲しい方に、欲しいものを時間と手間をかけずに行える」という消費者への優しさがドイツの返品事情にあります。
海外の返品サービス
loop returns
loop returnsは、返品の際にユーザーを引き留める一連の質問をユーザーに投げかけ、返品以外での解決までの道をアプローチくれるshopify アプリです。
返品の際、返品の4つの方法(交換、今すぐ購入、クレジットの保存、払い戻し)を提供することで、顧客が返品を交換に変えるように促し、返品率を下げることができます。商品のサイズに関する質問から始まり、交換の提案に移行し、返品よりもブランドとの信用取引を提案することで、実質的に利益率を上げることが可能です。
URL: https://www.loopreturns.com/how-loop-works
Happy returns
Happy returnsは、オンラインショッピングで購入した商品の返品を引き受け、消費者の負担を減らしてくれるアメリカのサービスです。
米国中心にショッピングセンターやキャンパス内などに300箇所の「Return Bar」と呼ばれる拠点を設置しており、返品をしたい人はそこに商品を持っていきEメールアドレスを伝えれば、Happy returnsが返品処理をしてくれます。
返品の内容によってはReturn Barにてサイズ交換ができるか確認してくれたり、セーターの色が気に入らないのであれば別の色のセーターの提案などもしてくれるため、事業者・消費者共に返品作業の負担を大幅に減らすことが可能です。
URL:https://happyreturns.com/
Returnly
Returnlyは、顧客が商品を返品するタイミングで、即時の払い戻しを可能にするサービスです。
利用すれば工数のかかる返金・返品対応の手間を省くことが出来ます。
企業側にとっても、返品物トラッキングから商品の補充までをプラットフォーム上で管理することが可能になる上に、ユーザーデータベースの作成等もしてくれるため、そのデータをもとに顧客に寄り添ったアクションをとりやすくなります。
URL:https://returnly.com/
Recustomer
Recustomerは日本の返品・交換自動化するサービスです。返品・交換の業務を自動化できるだけでなく、キャンセルも自動化できるのがポイント。
返品・交換や注文キャンセル依頼の受付・承認から、メール返信、返金作業、交換商品の在庫確認、在庫引き当て、キャンセル時の発送停止などの業務を自動化します。
LOGILESSやNEXT ENGINEなどの国内のWMS、OMSと連携しているため、物流の部分まで自動化できるのが日本サービスのメリットと言えます。
URL:https://recustomer.me/
まとめ
いかがだったでしょうか?返品事情は日本と海外では大きく異なります。海外の返品の寛容さに驚いた人も多いのではないでしょうか。日本において返品はECサイトでは5~10%程度であり、諸外国と比較すると返品率は低い方です。しかし、アマゾンをはじめとする様々な海外の事業者がすでに日本において販売を行っていますので、彼らが持っている返品に関する考え方が日本においても浸透しつつあります。
日本の消費者も返品は気軽にできるものという考えが浸透してきていますので、事業者も返品対応が柔軟にできる体制をとってみてはいかがでしょうか。