近年、EC業界は大きな注目を集めています。そんなEC業界では最近、ECサイト自体をメディア化し、直接顧客を獲得することが主流になりつつあります。
そこで本記事では、ECサイトメディア化によるメリット・デメリットや種類、メディア化への流れを、成功事例と合わせて紹介していきます。
「今までのECサイトと何が違うの?」
「ECサイトをメディア化したいけど、具体的にはどうやるんだろう」
「ECサイトのメディア化によって得られる恩恵はなんだろう」
などとお考えの方に必見の記事です!!
目次 |
ECメディアとは、ECサイトとメディアが一体化したもののことを言います。
商品情報が書かれ、そこから商品を購入するだけの従来のECサイトではなく、訪れた人たちの購買意欲を高めるためにメディア化されたECサイトのことです。
従来のECサイトでは、ただ単に商品情報が書かれているサイトを作成し、SEO施策やリスティング広告を行うことで、検索上位に入り込み、見込み客を獲得する方法が主流でした。
しかし2010以降のGoogleによる検索エンジンの度重なるアップデートにより、この二つの方法でCV獲得まで持っていくことが難しくなっていきました。それによって2020年以降大きな注目を集めているのが、今回紹介させていただくECサイト事業者によるオウンドメディアの運営です。
従来のECサイトとの大きな違いは、サイト内のコンテンツを充実させ、有益な情報を提供し続けることで、お客様がサイトを訪れる理由に、「商品を購入するため」以外の目的が増えることにあります。それによって潜在顧客の獲得も可能になるのです。ECサイト自体のメディア化によってECサイトとしても情報発信メディアとしても機能することで、ファンやリピーターを増やすことにもつながります。
ECサイトを運用する理由やその効果に関しては漠然と理解していただけたのではないでしょうか。では実際にECサイトをメディア化することによって考えられるメリット、デメリットについて具体的に説明していきます。
ECサイトのメディア化によって得られるメリットは以下の3つです。
・ECサイト自体のSEO効果が高まる
・顧客獲得単価(CPA)を下げられる
・商品に対する理解が深まる
ECサイト内のコンテンツを充実させ、有益な情報を提供し続けることで、サイトに流入してくる層の拡大が見込める他、継続的にアクセスしてもらえるファンの獲得にもつながるため、相対的にSEO効果が高まります。
SEO対策やリスティング広告、SNS広告などを利用し顧客獲得を狙っても、競合との価格競争に巻き込まれ、CPAが高くなってしまいます。しかし、自社のECサイトをメディア化し、コンテンツを充実させることでメディアとしての価値が高まり、Googleから良い評価を得ることができるようになります。サイトに関するコンテンツが充実し、それぞれの記事が検索上位に入るようになれば、広告費の削減につながり、その浮いた広告費でさらにコンテンツを充実させるなどすることが可能になるのです。
従来のように商品をただ売るだけではなく、メディア化してその商品の歴史や背景、活用術などを自身のメディアで発信することによって、それを読んだお客様は今までよりも身近にその商品を感じることができ、購買意欲が高くなります。また、メディア製作側も制作していく上で商品自体の知識や知見を獲得できるので、お互いにとっても利益があるのです。
ECサイトのメディア化によるデメリットは以下の2つです。
・メディア担当者の労力が大きい
・効果が出るまでに時間がかかる
ECサイトのメディア運用には想像以上に労力がかかります。自社の社員でコンテンツ記事を制作していくとなると、今までのECサイト運用で培ってきたものとは全く異なる技術が必要です。ドメインの取得やサイト設計、デザインなどはもちろん、記事作成のノウハウなども身に付ける必要があります。また、サイトを開業した後は絶えず記事の投稿を続けなければいけません。社内にこういった知識を有する人材がいれば問題はないですが、いなければ新規採用したり、外部委託するのも一つの手です。
記事を作成してから検索上位に上がるまで、早くても半年はかかると言われています。そのため、メディア運用を始めても半年間は成果が出ず、途中で切り上げてしまう企業も少なくありません。メディア担当者にはその期間諦めずコンテンツを制作し続ける忍耐力も必要になってきます。しかし一度軌道に乗れば、競合他社が追いつくことができない強固なメディアとして残り続けます。資産としても蓄積されていくため、半永久的に集客が見込めるのです。
では実際、ECサイトをオウンドメディア化するにはどのような工程が必要なのでしょうか。工程は、以下の6つあります。
・目的の設定
・ターゲットの設定
・メディアの制作(自社or外注)
・メディアの運用(自社or外注)
・分析
・リライト
まずは、なぜオウンドメディアを運用するのかの目的を明確化する必要があります。これが最も重要であると言っても過言ではありません。目的を明確化しない状態で初めてしまうと、サイトの方向性にブレが生じてしまうなどの問題が発生してしまう可能性があります。集客に力を入れるのか、自社のブランディングを重要視するのか、認知度の向上を目指すのか。目的を明確化することで、コンテンツ制作の方向性がしっかりと定まります。
目的を定めたら、次はターゲットの設定です。どのユーザー層を狙うのかは、できるだけ細かく定めておけば、メディアの運営やコンテンツ制作がスムーズに行えます。
メディアの方向性が定まったら、次は実際のメディア制作方法を選定します。制作方法は大きく分けて「自社で作るか」か「外注するか」のどちらかになります。それぞれにメリット、デメリットがあるので、確認していきましょう。
■ 特徴
ShopifyなどのECサイトのシステムの中には既にメディアを管理する機能があります。
その機能は基本無料で使えるので、比較的コストを抑えてメディアを開設することが可能です。また、エンジニアの方などがいれば0からメディアサイトを開設することが可能ですが、費用のかかる方法なのでオススメは前者の既存ECシステムの機能を使うことです。
■ オススメな人
・ShopifyなどのECシステムを利用している方
・サイト設計に強い拘りがない方
■ 特徴
メディア制作を外注すると、手間暇かからずレベルの高い独自のデザインでオウンドメディアを制作がこの可能です。ただ、こちらも費用のかかる方法なのでオススメはできません。
■ オススメな人
・人員が足りない人
・サイト設計に強い拘りがある人
オウンドメディアの運用方法も自社作成と外注の2点があります。それぞれのメリットデメリットについて説明していきます。
■ メリット
自社でメディアを運用するメリットは2点あります。
・管理しやすい
・比較的費用がかからない
①管理しやすい
外注した場合は、制作会社に管理を任せることがほとんどです。そのため、更新作業などを行う際、いちいち手間がかかります。自社で簡単に更新作業を行えることは、自社でメディアを運用する上での大きなメリットとなります。
②比較的費用がかからない
自社でメディアを運用すれば、外注費を抑えられるため比較的安く運用することが可能です。継続的にメディアを運用してSEOが高くなれば、WEB広告にも劣らないマーケティングを行うことも可能です。
■ デメリット
自社でメディアを運用するデメリットは、2点あります
・労力がかかる
・ライターを雇う必要がある
①労力がかかる
記事執筆やキーワード管理、SEO対策の知識なども必要になってくる他、サイトを管理し続けなければいけないため、メディア担当者の労力が大きくなります。
②ライターを雇う必要がある
メディアを成長させるためには継続的なメディアの更新が必要です。
現在の人員だけで補えない場合は、追加でライター等を採用する必要があります。
実質的に専属ライターを雇う場合はそれに伴う人件費もかかります。
■ オススメな人
・ライティングやSEOなど地道に進めていくのが得意な方
・メディア運用にコストをかけたくない方
■ メリット
メディアを外注して運用するメリットは、2点あります。
・メディア運用に労力を割く必要がなくなる
・計画的な記事の執筆が可能になる
①メディア運用に労力を割く必要がなくなる
メディアを運用する際に一番時間がかかるのは、実際の記事を執筆する時です。
それをCrowdWorksなどのソーシングサイトで外注化すれば、大幅な効率化が見込めます。
②計画的な記事の執筆が可能になる
複数のライターの方に記事を発注すれば「週に3記事投稿する」といった計画的なメディアの運用が可能になります。自社人員だけで回していた場合は、記事の執筆以外にも他の業務で忙しかったりして手が回せない時があるので、非常に有効的な手段です。
■ デメリット
メディアを外注して運用するデメリットは、2点あります。
・人によって品質にばらつきがある
・費用がかかる
①人によって品質にばらつきがある
CrowdWorksなどで記事執筆を外注する場合、人によっては納期を守らなかったりクオリティに低い記事を納品してきたりとトラブルがよく発生します。
対策としては、クオリティの高い記事を納品してくれたライターに継続して外注するなどの手法が取れます。
②費用がかかる
メディアを外注する最大のデメリットが費用がかかることです。
相場は1文字0.5~1円ほどなので、一般的な記事(6,000文字)を書いてもらう場合は3,000円〜6,000円ほどの費用がかかってしまいます。
■ オススメな人
・メディア運用は自動化して他の業務に集中したい方
・資金に余裕がある方
ECサイトを運営していく上で、アクセス分析を欠かすことはできません。ECサイトを複数のツールを用いてアクセス分析行えば、サイトを見ているユーザー数・どの商品が重点的に見られているかなどをデータとして確認できます。商品購入前のユーザー行動も確認できるため、購入までの行動予測・誘導が可能になります。また、アクセス分析を行うことで、サイト内のどのページのPVが少ないのか確認できます。
そのため、ECサイト全体の問題点や改善すべきページを洗い出すことができるようになります。
ECサイト分析に関してはこちらの記事で詳しく紹介しているので興味のある方は是非ご覧ください!
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▶︎ECサイトの分析とは?売上向上に必須の解析スキルを徹底紹介【成功事例付き】
リライトとは、過去に投稿した自社オウンドメディアの記事の文章等を入れ替えて、よりユーザーに見られやすい記事に作り直すことです。古くなった情報を更新し自社サイトのCV数を上げることを目的としています。検索順位を上げるためのSEO対策としてリライトは有効的な手法です。
自社ECサイトのメディア化に成功した事例を3店ご紹介します。
株式会社クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」。このサイトは2012年にはショッピングモールへの出店から自社ECサイトをオウンドメディア化し、「まだ、買う気のない人」をターゲットにしたメディア構築をはじめました。2年で売り上げが2億円を超えるまでに成長し、今では月間1600万PVを超え、インスタグラムのフォロワー数も110万人を超える大人気ECメディアサイトとなっています。物を売るだけではなく、買ってもらいたい人が好むコンテンツを提供することで、潜在顧客に興味を持ってもらい、商品購入までの導線を作り出すことに成功しました。
・潜在顧客を狙ったコンテンツ制作
・購入までの巧みなストーリー設計
・迅速なECサイトのメディア化
ホームセンターを全国展開するコメリが運営する自社ECサイト。「お庭づくり特集」「物置・収納庫特集」などの特集ページを設けており、商品に関する知識をその場で学べる仕組みを作ることで、知識を求めるユーザーを集客し、そのまま購入につなげるという一連の流れを作り上げたECメディアサイトとなっています。
・強い集客施策の構築
・幅広い情報配信
株式会社シマダトレーディングが運営するインテリアショップNOCE。お客様事例や今月の店舗オススメ、特集記事など様々なコンテンツが制作されており、それぞれのコンテンツから家具購入までを円滑に行えます。さらに、お客様が実際に商品を購入した際、どんんな雰囲気が作れるかなどをイメージできるような工夫が施されており、信頼度がとても高いサイトです。
・リピートまでの巧みなストーリー設計
・顧客のニーズに応えたサイト設計による信頼度獲得
いかがだったでしょうか。この記事では、主流になりつつあるECサイトのメディア化について、実際の成功事例も合わせて詳しく説明させて頂きました。ECサイトの売上を爆発的に伸ばしたいなら、ECサイトのメディア化は必要不可欠です。
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