個人と個人との間のコミュニケーションツールとして、電子メールの時代は終わりを迎えようしています。
とりわけ若い人の間での日常的な連絡はLINE一択でしょう。
この流れは上の世代にも広がっていますので、ECサイトにおいてもコミュニケーションのチャネルを電子メールからLINEへ広げていくのは自然の流れです。
今回の記事ではECサイトがLINEを活用すべき理由、活用方法、Shopifyとの連携などについて解説しています。
「メールマガジンを配信しているけれど、開封率が低くて悩んでいる」
「LINEで売上が上がると聞いたけれど、どうやってやるのか分からない」
「ShopifyからLINEの連携はどうやって使えるの?」
などとお考えのECサイト担当者の方に必見です。
LINE公式アカウントとは?
「LINE公式アカウント」は企業や店舗の方が自社の公式LINEアカウントとして、登録できるサービスです。
料金プランは以下の3種類があります。
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フリープラン
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ライトプラン
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スタンダードプラン
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月額固定費
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無料
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5,000円
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15,000円
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無料メッセージ数
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1,000通
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15,000通
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45,000通
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追加メッセージ従量料金
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不可
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5円/通
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~3円/通
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出典:LINE for Business より
基本的には個人のLINEアカウントと同様に開設した「LINE公式アカウント」に友だち追加してもらいます。
友だち追加してもらったユーザに対して、下記のような様々な機能が利用できるのが、「LINE公式アカウント」ならではの特長です。
・メッセージ配信
・オーディエンス
・LINEチャット
・LINEコール
・ショップカード
・リッチメニュー
・クーポン
・タイムライン投稿
・リサーチ(PC版管理画面のみ)
・アカウント満足度調査(PC版管理画面のみ)
・分析
・友だち追加広告(オプション機能)
・LINEで予約(オプション機能)
・LINE API(オプション機能)
出典:LINE for Business より編集・追加
ECとLINEの相性の良さ
LINEがECサイトと相性がいい理由としては、以下のように日本国内で幅広く使われていることが挙げられます。
利用者数とアクティブユーザー
国内でLINEのユーザ数は8600万人で、そのうち85%のユーザが毎日利用しています。(2020年10月末時点)
偏りなく全国にユーザが存在
日本全国どこでも2人に1人以上がユーザーです。
偏りのないユーザー属性
以下の図にあるように性別、年齢、職業に偏りなくまんべんなく広く使われています。
出典:「はじめてみよう!LINE公式アカウント」より
また、前項で説明した「LINE公式アカウント」が持つ機能のうち、特に下記の機能がECサイトを運営する上で効果的なツールになります。
メッセージ配信
一般に電子メールの開封率は10%、LINEの開封率は60%と言われています。
圧倒的にLINEのメッセージの方が開封率は高いですので、内容を魅力的なものにすることに力を注げばよいことになります。また、オーディエンス機能を使って、内容に沿った配信先にすることにより効果的なメッセージにすることができます。
また、ブロックされる可能性を低くすることもできます。
LINEチャット
電子メールと比べるとLINEでは即時の反応が期待できます。
さらに、やり取りは記録に残りますので今後の販売に役立つ情報にすることができますし、やり取りの中で購買につなぐこともできます。
リッチメニュー
トーク画面の下部にタイル状のメニューを表示させる機能により、ECサイトへ誘導することができます。
下図の点線で囲んだ部分がリッチメニューです。
出典:MyBook公式アカウントより
LINEを使ったEC集客の種類
LINEは次のような流れで活用していきます。
「潜在客から見込客の集客 → 信頼醸成 → 新規購入 → ファン化」
次からどのようにLINEを活用していくかを説明していきます。
見込客の集客
LINE広告
自社ECサイトの見込客を獲得するためにLINE広告が活用できます。
出典:LINE for Business
国内でのLINEユーザ数は8600万人と規模としては十分ですが、逆に多すぎるので自社の商品に興味の無いユーザにまで広告が配信されると無駄なコストが発生してしまいます。そこでLINE特有のターゲット設定を活用する必要があります。
LINEの広告のターゲット設定では、地域、性別、年齢、趣味・関心から絞ることができます。
さらに、自社で購入してくれたユーザのLINE ID一覧があれば、その一覧をアップロードしてそれらユーザと類似したユーザへ広告配信することができます。
また、LINE広告の一つに「友だち追加広告」があります。
LINE公式アカウントの立ち上げ時期には、「友だち追加広告」を活用することは有効です。
LINE広告は以下の12の配信先があります。
・トークリスト
・LINE NEWS
・タイムライン
・ウォレット
・LINE マンガ
・LINE BLOG
・LINE ポイントクラブ
・LINE ショッピング
・LINE チラシ
・LINE クーポン
・LINE 広告ネットワーク
・LINEマイカード(2021/05/25アナウンス)
広告配信機能には以下のものがあります。(主要な機能を抜粋)
これらの機能を用いることによって効果的に広告配信をする事が可能です。
・LINEデモグラフィックデータ配信
・オーディエンス配信
・友だち追加
・LINE Dynamic Ads
・友だちオーディエンス配信
・類似配信
顧客との信頼醸成
ステップ配信
ステップ配信とはユーザのアクションをトリガーとして、事前に用意したメッセージを配信する機能です。
出典:PR TIMES より
電子メールの分野では以前より広く使われていた手法で、その手法をLINEのメッセージに適用したものとなります。
ユーザのアクションに沿って配信されますので、煩わしいと思われることなくメッセージ配信することが可能となります。
見込客として集客したユーザにお店のことや商品について理解を深めてもらい信頼醸成していくためのツールとして活用できます。
新規購入とファン化
LINEチャット
ユーザと1対1でコミュニケーションできるのが、LINEチャットです。
出典:ユニクロお問い合わせ専用アカウント
LINEチャットを活用することで、ユーザ一人一人に合わせたコミュニケーションが取れます。
これにより、ユーザに寄り添った対応をしていくことで、新規購入やファンになってもらえる可能性が広がります。
このLINEチャットを始めるにはユーザからメッセージを受け取る必要があります。
従って、ユーザからメッセージを送って貰える導線が必要となります。
その導線として、LINE公式アカウントからのメッセージやECサイトにLINEチャットでの問い合わせを受付していることをアナウンスしておくことが大事です。
チャットにはテキストだけではなく画像やビデオなども送ることができますので、お客様に合わせた商品の提案を画像やビデオで行うことができますので新規購入につなげることができます。
LINEチャットの機能には、口頭ベースとは違い記録に残せるという以外に
・忙しいときや時間外の時に自動応答する機能
・チャットの管理のためにタグ付け
・「対応済み」や「要対応」に振り分け
・定型文の登録
がありますのでビジネスでの利用には十分活用できます。
LINEを使った他サービスの紹介
BuyButton(購入ボタン)
出典:Shopify公式サイト
BuyButton(購入ボタン)はカートと決済画面へのショートカット機能で、ホームページやブログ以外にラインのメッセージにも埋め込むことができます。
埋め込むためのコードは管理画面で「販売チャネル」横の+ボタンをクリックして、「販売チャネル追加」画面で「購入ボタン」→「チャネル追加」をクリックすると「Buy Button」が表示されます。
①「Buy Button」をクリック→「購入ボタンを作成する」をクリックします。
②購入ボタンは「商品購入ボタン」もしくは「コレクション購入ボタン」を選択できます。今回はスマホでの画面サイズを考えて「商品購入ボタン」を作成します。
③表示させたい商品を選択し「選択」をクリックします。
④表示のカスタマイズ画面で背景色やフォントなどを指定して「次へ」をクリックするとコードが表示されますのでコピーしてメモ帳などで保存します。
生成されたコードを使って、LINEメッセージに埋め込むことによりメッセージから商品をカートに入れることができます。
BuyButton(購入ボタン)はShopifyの標準機能で生成できますので、ご自分でLINEメッセージに埋め込むことができれば追加コストは不要です。
ソーシャルPLUS
出典:株式会社フィードフォース「Social Plus」より
ソーシャルPLUSはShopifyの全プランで、ShopifyとLINEを連携させる機能を持っています。
ID連携によって顧客・購買データに応じたメッセージ配信を行うことで、効果的なCRM施策とより良い顧客体験の提供が可能になります。LINEとの連携機能は、次の通りです。
・ECサイトにLINE IDでログイン可能
・顧客タグで配信セグメントを絞り効率的なLINEメッセージ配信
・リッチメニューのタブ作成
こちらの記事ではより詳しい活用方法が掲載されているので興味のある方はぜひご覧ください!
費用は以下ととなります。
・Shopify ベーシック $29/月
・ソーシャルPLUS $0~(フリープラン)
URL:https://socialplus.jp/shopify_app/price
成功事例
ミウラタクヤ商店
株式会社モノリスが運営している「チャコールバターコーヒー」などダイエット食品を販売するECサイト「ミウラタクヤ商店」です。LINEチャットを使って、土日でも即時にレスポンスする対応を行っています。
しかも、自動対応ではなく手動で、しかも、その人に合わせた返信をするようにしているとのことです。
その甲斐あってか、LINE公式アカウントのフォロワー数は1.7万人(2021年5月25日時点)です。
店長はダイエット研究家の側面も持っていて、ダイエットの相談にも丁寧に返事をしているとのことです。
URL:https://miuratakuya.store/
AKAISHI
株式会社AKAISHIが運営している主に女性向け「足の健康に良い」シューズの販売をしているECサイトです
AKAISHIは自社のECサイトへの流入数を増やすことと、メールマガジンに代わるコミュニケーション手段としてLINE公式アカウントを開設しました。
LINE公式アカウントの開設後にクーポンなどを発行して友だち追加を促進したことと、画像を組み合わせたメッセージを配信しています。結果として、1年間で1万人以上の友だちを獲得、現在2.4万人(2021年5月25日時点)を獲得しました。
送客率はメールマガジンの2.81倍で、より短期間で新規顧客の獲得ができています。
従来はPCからのアクセスが多かったのが、スマホからのアクセスが増え、結果的に若い世代のお客様が増えたとのことです。AKAISHIは実店舗でも販売しているので、店舗にLINE公式アカウントのPOPを設置したり、レジで友だち追加をお願いするなどして友だちの拡大を図っています。
URL:https://akaishionline.com/
ETVOS
株式会社エトヴォスが運営しているコスメブランドのECサイトです。
2015年6月よりLINE公式アカウントを運営しています。
友だちの数は452万(2021年5月25日時点)です。
LINE限定のキャンペーンやLINEだけで取得できる情報といったお得感で友だちを増やしています。
LINEにした効果として、メールマガジンと比較するとLINEではクリック率は最大で2.3倍となっています。
また、客単価はLINE経由だと4%アップになります。
URL:https://etvos.com/shop/default.aspx
まとめ
LINEは一般の人にとってはパーソナルな連絡手段として利用されています。
そんな中で自社のLINE公式アカウントに友だち追加してもらうのはかなり難しいですし、うるさいと思われると簡単にブロックされます。それだからこそ、ユーザ視点に立ったメッセージの発信をすることによって、継続的にメッセージを読んでもらえるようになると自社のECサイトの固いファンになってくれます。
コストをかけることに意味のあるコミュニケーションチャネルといえますので、今回の記事を参考にして多くのファンを獲得できるよう活用してください。