近年、返品は顧客満足度を高めるためと、次への購買につなぐためにユーザーからは比較的簡単に返品できるようにしている店舗が増えています。
しかし、想定よりも返品数が多く、工数を取られてしまっている方も多いのではないでしょうか。
返品数を削減することができれば、返品対応にかかっていた工数を販売促進などの前向きのアクションに振り向けることが可能になります。
そこで本記事では、返品の発生する原因とその対策について解説していきます。
「返品が多くて収益を圧迫するようになっているので削減する方法について知りたい」
「返品対応に工数が取られて担当者の負担になっている。負担を減らす方法を知りたい」
「会社の方針として返品の削減が挙げられたが、何から手を付ければよいか分からない」
などとお考えのECサイト担当者の方に必見です。
目次 1-2. 不良品返品 1-3. 返品となる原因が発生する箇所 2. 返品を削減するメリット 3. 返品を削減する対策方法 3-1. UI/UXの改善 3-2. Web経由の発注 3-3. 商品イメージの表現方法 3-4. 配送日を確認、住所変更をできるようにする 3-5. 設計・製造・検査工程の品質向上 3-6. 新製品の情報共有と方針転換 3-7. 需要予測の高度化と情報共有 4. 返品を削減するサービス 4-1. Recustomer 4-2. unisize 5.まとめ |
商品を販売する上で返品はどうしても発生してしまうものですが、返品の原因を知り対策を取ることによって少なくすることができます。放置をしておくと個別の企業問題ではなく社会問題となる可能性もあるので注意が必要です。
一例を挙げると、近年大きな問題と認識されてきている「食品ロス」は年間600万トンで、これは国連世界食糧計画(WFP)による食料援助量(約420万トン)の1.4倍にあたります。
食品ロスのうち事業系は324万トンで、発生要因の内訳は下図のようになっています。
出典:「食品ロス削減関係参考資料(令和3年6月14日版)消費者庁より
製造・販売・調理の過程で発生する規格外品、返品、売れ残りなどが食品ロスになると分析されています。
他の業種でも対岸の火事ではなく、他山の石として考えて行動する必要があります。
ここでは返品が発生する原因について、カテゴリーに分けて説明していきます。
商品に問題はなく、別の要因で返品されることを「良品返品」と言います。
以下の5点が、大きな原因として挙げられます。
・商品を間違えて注文、発注
カラーバリエーションやサイズなどを間違えたり、単純に品番を入力ミスしたりといったことで間違えてしまった。
・納品日の間違い
聞き間違いや入力ミスなどで間違えてしまった。
・実際に届いた商品が気に入らない
ファッションなどでありますがECサイトで見ていたのと、実際の商品を目にするとイメージが違っていたり、サイズが合わない場合に返品する。
・配送会社の保管期限切れ、住所間違い
配送日の関係で、購入者が商品をなかなか受け取れないことから返送(返品)対応となる。
また、購入者が住所の入力を間違えて入力した場合や、存在しない住所を入力した場合にも返送(返品)となる。
商品が仕様を満足しない不良品だった場合と、陳腐化したり、期限切れだったりする場合を「不良品返品」と言います。
原因としては以下の5点があります。
・製造時の不良
製造段階で不良品を出してしまい、検査で検出できずにユーザへ出荷されてしまった。
・陳腐化
新製品がリリースされた段階で、旧製品が在庫として残ってしまっている。
・賞味/消費期限切れ
需要予測を間違ってしまい売れ残りになってしまった。
・贈答品残
贈答品として用意した詰め合わせが需要予測を間違ってしまい売れ残りになってしまった。
・季節品残
季節により販売が左右される商品が需要予測を間違ってしまい売れ残りになってしまった。
原因が発生する箇所は、商品を製造しているメーカ、小売店へ卸している卸、小売店、消費者、販売ページと多岐にわたります。
また、当事者が複数絡んでいる場合がありますので、原因分析する場合や対策とる場合には漏れないよう注意する必要があります。
販売促進と比較すると返品対策は後ろ向きのアクションととらわれがちですので後回しになってしまいます。
しかし、返品により発生するコストは1件あたり3572円(※)というデータもありますので、対策をおろそかにしてしまうと収益に響いてしまいます。
※2020年米国の返品額は約60兆円。返品業務の課題解決を目指す、返品交換自動化SaaS「Recustomer」のβ版をリリースより
返品を削減するメリットを以下に説明しましたので、メリットを理解して対策をきちんと取るようにしてください。
・返品に対応するコストが削減
返品に対応するコストはさきほども記載したように1件あたり3572円です。
返品の件数が削減されれば直接、収益にプラスとなります。
・顧客満足度の向上
最終消費者からすると返品することは余計な手間ですので、削減することは不満に思うユーザを作らないことになります。
・保管スペースの削減
陳腐化や売れ残りによる返品を減らすことは在庫のための保管スペースを減らすことになります。
・リソースを前向きのアクションへ振り向けられる
削減により返品対応にかかっていたリソースを販売促進などの前向きのアクションに振り向けることができます。
返品を削減する対策は業務改善にもつながる施策になります。
従って、副次的な効果として、販売に関わる様々な業務品質の向上と改善が成果として上がることでしょう。
返品が発生する原因に対して、削減する対策方法をまとめると以下の表のようになります。
No. |
原因 |
課題 |
解決策 |
1 |
商品を間違えて発注 |
発注時の確認方法 |
UI/UXの改善 |
2 |
納品日の間違い |
人の介在の排除 |
Web経由の発注 |
3 |
実際に届いた商品が気に入らない |
ECサイトでの商品の見せ方 |
写真、動画、3D、システムの導入 |
4 |
配送会社の保管期限切れ、住所間違い |
購入者と配送情報の共有 |
ECサイトの改善、システムの導入 |
5 |
製造時の不良 |
品質向上 |
設計・製造・検査工程の品質向上 |
6 |
陳腐化 |
新製品へのスムースな切り替え |
情報共有と方針転換 |
7 |
賞味/消費期限切れ |
需要予測向上 |
需要予測の高度化 |
8 |
贈答品残 |
需要予測向上 |
需要予測の高度化 |
9 |
季節品残 |
需要予測向上 |
需要予測の高度化 |
BtoBの場合でしたら、発注する商品は同じものを個数だけ変えて注文するパターンが多いので、注文履歴から商品を選んで個数を変更するだけで発注できるようにすれば、発注ミスを削減することができます。
BtoCの場合でしたら商品の写真をバリエーション毎に用意しておいたり、サイズに違いについては発注前に確認させたりするのがいいでしょう。
担当営業が付いている場合では電話や口頭で注文を受け付ける場合があります。もちろん、注文請書を発行してお客様に書面で確認するでしょうが、形式的なやり取りになってしまいモノが届いてから間違いに気づくパターンが多いです。
これを防ぐためには電話や口頭による注文からWeb経由での発注に切り替えてもらうことです。
過去からの慣習や口頭や電話の方が楽なためお客様からの抵抗はあるでしょうが、返品を削減するために必要なことだと納得を得るようにしていきましょう。
リアル店舗では手に取ったり試着したりなどして商品を実際に確かめることができますが、ECサイトではパソコンやスマホのモニター越しでしか商品イメージがつかめません。
したがって、モニターで見ていたイメージと実際に届いてみた商品を見たときに思い描いていた商品と違うということもあり得ます。また、試着できないので実際に着たり、履いたりしてみるとサイズが合わないということもあり得ます。
販売戦略上、返品を積極的に受け入れているECサイトがありますが、それでも返品は少ない方がコスト的にも社会的にもメリットがあります。
そのために、写真だけではなく動画や3Dモデルを使って商品イメージを伝えたり、サイズも通り一遍の数字だけではなく、スマホでサイズを計測してから最適なサイズをレコメンドしたりするといったような最新のIT技術を使った工夫も必要です。
Amazonなどのモールではお届け日時の確認・指定や注文後の住所が簡単に変更可能なのと比較して、お問い合わせしないとできない場合や会員登録を行わないとできないECサイトが多いです。
配送日の確認・変更や住所変更ができないために、購入者は購入品を受け取れない場合も少なくありません。
解決策としては、配送日の確認・変更や住所変更が簡単にできるようにECサイトをカスタマイズする必要があります。
しかし、ECサイトのカスタマイズは工数・時間・コストがかかるので、自社開発するよりもサービスを導入する方がコストパフォーマンスが高いのでおすすめです。
自社で製造から行っている場合には品質目標を全社で共有して、設計・製造・検査でPDCAを回して品質向上させていきます。販売サイドは工場任せにすることなく、お客様の声をきちんとフィードバックして牽制する必要があります。
外部に委託して製造させている場合は品質に対する考え方や実際の体制を最初だけではなく継続して確認する必要があります。また、書面だけでの確認だけではなく実際に製造現場を訪問して確認する必要があります。
新製品がリリースされるとそれまでの製品は旧製品となり、在庫があると返品されるか値引き販売となってしまいます。
いずれの場合も、収益に影響が出ることが考えられます。
メーカーが新製品リリースの情報をぎりぎりまで開示していない場合は上記のような事態は容易に発生してしまいます。
これを防ぐにはメーカーが開発している新製品情報をある程度事前に卸や小売店と情報共有する必要があります。
さらに、現行製品は新製品リリースされる前に注文を受け付けないようにする必要があります。
メーカーと卸や小売店との間での従来の商慣習を崩すことになるかもしれない方針変更となりますので事前に十分な打ち合わせが必要です。
経験と勘で需要予測を行うと欠品を怖れて多めの発注になってしまい、最終的に売れ残ってしまいメーカーへ返品ということになってしまいます。
POSデータなどで需要の予測をデータに基づき行うことと、メーカーと卸、小売店で特売などのイベントを共有することにより需要予測を行い適正な在庫を持つことが重要です。
また、製造するロット単位を小さくして、販売状況を見ながら生産工程を立てることも有用です。
大きなロットの方が原価は安くできますが、返品コストまで見据えるとトータルのコストが安価になるのは小さなロットということもあり得ますのでシミュレーションをして適正なロットサイズを見いだすようにするのがおすすめです。
以下では、返品削減や返品対応業務における便利なサービスをご紹介いたします。
是非参考にしてみてください!
サービスサイト:https://recustomer.me/returncancel
上記からも分かるように返品を削減するには、返品の理由の分析が必要です。
お問合せフォームなどで返品の申請を受けていると、データの統一性がない点や管理できないという点から分析することが難しいのが現状です。
Recustomerは、返品の管理はもちろん、返品・交換などを自動化することができます。
返品数の削減だけでなく、お問合せ対応業務の削減や顧客体験の向上にもつながります。
Recustomer(リカスタマー)を導入すると、以下のことが可能になります。
・返品、交換の自動化
・注文キャンセルの自動化
・返品、交換のデータ分析
1)お問い合わせの82%を自動化する交換・返金の自動化
事前に返品ポリシーを設定しておくことで、返品や交換の承認・拒否を自動で処理することができます。承認された場合、自動で在庫を参照し、交換商品をユーザー自身で選択、その後在庫引当も自動で行うことができます。
2)対応時間0分を実現するキャンセル自動化
キャンセルのリクエストを受けると、自動で配送ステータスを確認しキャンセルの承認・拒否を判断します。承認された場合は、自動で配送停止作業、返金作業を行います。
3)返品・交換・キャンセルのデータ分析
返品・交換・キャンセルデータを収集、分析することができます。これによりECサイトや返品率の改善、生産計画マーケティング施策、商品企画に活用することができます。
サービスサイト:https://cl.unisize.makip.co.jp/
unisizeは株式会社メイキップが提供する試着サポートサービスです。簡単なアンケートに答えるだけで最適なサイズを判定し、着用感をシルエットで表示してくれます。推奨される洋服サイズは国内外のブランド寸法と人体データに基づき採寸されるため、お客様にとって最適なサイズを割り出すことが可能です。
unisize(ユニサイズ)を導入すると、以下のことが可能になります。
・オンライン上でサイズフィッティング
・購入を検討している洋服と購入済み商品の寸法を比較
unisizeを導入することで、購入された商品がサイズ間違いで返品になってしまうことを防ぐことができるため、返品率を下げることにつながるほか、オンライン上の商品に手を伸ばしやすくなるため購入率を上げることにもつながります。
アパレルECサイトを運営している方には革新的なサービスです。
返品を削減するために、返品ポリシーを厳しくすると顧客満足度が低くなり結果的に売上の低下につながりますので、返品ポリシーはそのままにしながら返品を削減するという難しい運営を迫られることになります。
今回の記事では返品の原因を明らかにして、その原因に対応する対策について解説しました。
今回の記事を参考にして返品の削減と返品に関わる工数を削減してみてはいかがでしょうか。
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