顧客管理を顧客の情報を正確に管理することだけと思っていないでしょうか?
連絡先の電話やメールアドレス、配送先の住所や支払いがされていることが管理できていれば大丈夫と思ってShopifyで作ったECサイトを運営していませんか?
今回の記事では
・ECサイトにおける「顧客管理」の目的とメリット
・Shopifyで具体的にどのように顧客管理するのか
・顧客管理の全体的な流れ
・顧客管理の分析や自動化などをサポートするアプリの紹介
を説明していきます。
「顧客管理を売上げ向上につなげる方法を知りたい」
「顧客管理にかける工数を減らして前向きな作業に振り向けたい」
「顧客管理は重要だと聞くけど具体的には何をすればいいのか分からない」
などとお考えの方に必見の記事です!!
目次 1-1. 顧客管理のメリット 2-1. 顧客情報の移行 2-2. 顧客情報の管理 3-1. 現状把握 3-2. 顧客セグメント化 3-3. シナリオ作成 3-4. 実行 4-1. HubSpot CRM 4-2. Easy Tagging 5. まとめ |
顧客管理とはもう少し言葉を足すと何をするものかがわかると思います。
顧客管理と言っているのは「顧客関係管理」のことです。
英語では「Customer Relationship Management」であり略して、CRMと呼ばれています。
つまり、お客様との関係を管理・構築することになります。
単にお客様の氏名、性別、年齢などの属性を収集して管理するだけではなく、お店とお客様との関係を維持し向上していく手法のことです。
ECサイトではリピートして購入して頂けるリピート客を増やすことが重要だと言われています。
重要な理由は、
・売上の安定化になる
・新規顧客を獲得するコストに比べてリピート客の集客コストは低い
・リピート客のデータを活用し商品開発ができる
などがあり、ECサイトではリピート客が増えると売上が上がりコストは下がるので収益が上がることになります。
また、お客様の声や反応で競争力のある商品を開発できるので持続的なECサイトの発展の原動力になります。
まさに、「顧客関係管理」はこのリピート客を増やすことに直結するマネジメント手法となります。
さらにお客様の数は売上の先行指標となりますので、例えば顧客管理をしていてお客様の数の減少が判明した場合は、売上に影響が出る前に必要な打ち手を打つ時間が出来ますので事業リスクを未然に減らすことが出来ます。
Shopifyには「顧客関係管理」を支援する「顧客管理」機能が提供されています。
どのような機能が提供されているか説明していきます。
実店舗で管理している顧客情報やShopifyに移行する前に運営していたECサイトの顧客情報がある場合にはShopifyの顧客管理システムへ引き継ぐ必要があります。
引き継ぐことによって、お客様が新たに同じ情報を入力するという手間を省くことは非常に重要なことです。
もしも、再度入力を要求した場合には少なくないお客様は入力の手間を嫌って、去って行くことになるからです。
移行方法はCSVファイルで行います。
こちらにある「お客様CSVテンプレート」をダウンロードして、必要な項目を入力してインポートすることにより実行できます。
Shopify 顧客管理画面
①「顧客管理」をクリック
②「顧客情報をインポートする」をクリック
ウィンドウがポップアップしますのでCSVファイルを指定して読み込ませます。
注意点は次の2点です
・ファイルサイズは1MB以下。超える場合はファイルを分けてください。
・パスワードはインポートされないので、最初のログイン時にお客様にパスワードを再作成してもらう必要があります。
Shopifyの顧客管理画面からお客様の情報に対して次のようなことが出来ます。
Shopifyの「顧客管理画面」右上にある「顧客を追加する」をクリックすると個別に新規のお客様の情報を追加することが出来ます。また、お客様の名前をクリックすると登録されている内容の編集を行うことができます。
お客様の複数選択
上図のように編集したいお客様にチェックを入れて、「顧客情報を編集する」をクリックすると一括編集できる画面になります。また、お客様が登録してから一度も購入していない場合は削除ができます。
削除したいお客様にチェックを入れて「その他の操作」から「選択したお客様を削除する」を選択することにより削除できます。
また、お客様がパスワードを忘れた場合に管理者がパスワードをリセットすることができます。
「顧客管理画面」からお客様の名前をクリックして、お客様情報画面の「パスワードをリセットする」をクリックします。確認されますので、もう一度パスワードをリセットする」をクリックします。
お客様にタグを付けることができます。
利用イメージとしてはShopifyが標準で用意している項目以外に自社で顧客管理のために付けたい場合に利用できます。
例えば商品を拡散してくれているインフルエンサーの人だった場合に「インフルエンサー」というよなタグを付けて特別に管理するような場合です。お客様情報画面からタグを付けることができます。下図を参照してください。
お客様へ個別にメールを送信することができます。
「顧客管理画面」でお客様の名前をクリックするとお客様情報画面が表示されます。
「お客様の概要」セクションのメールアドレスをクリックすると上図のようにメール画面がポップアップします。
必要な内容を追加・編集して、「メール確認」をクリックして、問題なければ「通知を送信」をクリックするとメッセージが送られます。また次に説明するお客様の検索と絞り込みを使うことにより、特定のお客様や条件に合致したお客様のグループにメールを送ることが出来ます。
「顧客管理画面」の検索バーにキーワードを入力して検索することができます。
検索対象は、以下の項目となります。
・お客様の名前
・メールアドレス
・電話番号
・住所
検索は一人のお客様を見つけるのに適しています。
複数の条件で絞り込みをすることができますので、ある条件に一致する複数のお客様を見つけるのに便利です。
絞り込みの条件は次のとおりです。
・メール購読状況
・タグ付け
・お客様アカウントのステータス (有効、無効など)
・お客様の言語
・ストアで支払った金額
・行った注文数
・注文の日付
・お客様として追加された日付
・カゴ落ちの日付
・国別のロケーション (配送先と請求先の両方のロケーションが表示されます)
・商品サブスクリプションのステータス (サブスクリプションを設定しているストアにのみ表示されます)
引用元:Shopify ヘルプセンター
絞り込んだ条件は保存することができます。
保存した絞り込み条件に合致したユーザグループにShopifyメールを送ることができます。
絞り込みのグループはお客様の追加・変更・削除があっても自動で更新されます。
例えばメール購読を許可しているユーザに一斉にメールマガジンを送ったり、かご落ちからある一定の日数が経過したユーザに購買を促すメールを送ったりと色々なマーケティングのシーンで利用できます。
顧客管理の目的はLTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)を最大化することにあります。
言い換えると自社のECサイトのリピーターになり、お得意様になって頂くことです。
新規顧客になったお客様に2回目の購入をして頂き、さらに継続してご購入頂きファンになってもらう流れを以下にご説明します。お客様に長期間にわたって自社ECサイトの商品やサービスを継続して購入してもらうにはお客様の段階や状態に応じた打ち手をうって関係性を深めていく必要があります。
以下のサイクルを回していくことによって関係性を深めることができます。
お客様単位で現状把握をします。その際は、お客様の購買履歴を使って分析を行います。
その中でも最も使われているRFM分析について、以下に説明していきます。
RFMはRecency、 Frequency、 Monetaryの頭文字をとったものです。
これら3つの指標を使って、お客様をグループ分けして分析をしていきます。
指標名 |
指標値 |
指標の意味 |
Recency |
最終購入日 |
再購買の指標 |
Frequency |
累計購入回数 |
ロイヤリティの指標 |
Monetary |
累計購入金額 |
購買力の指標 |
それぞれの指標ごとに数段階に分けます。どの範囲で分けるかは取り扱っている商品によって違ってきますので各ECサイトで個別に定義する必要があります。三次元のマップとなり、各お客様がどの位置になるかをマッピングしていきます。
例えば各指標を5段階に分けると125個のグループができあがります。
これだとグループごとに施策を打つには多すぎますので集約して、数グループまでにするのがいいでしょう。
グループを集約するヒントとなる考え方を次にご紹介します。
①最近購入し、累計の購入金額は大きいが、購入頻度は低いグループ
└自社の商品を購入する理由が少ない
②最近購入し、購入頻度も高いが、累計購入金額が少ないグループ
└自社の商品に満足してくれている
└多くの金額を払う理由が少ない
③購入頻度も高く、累計購入金額も大きいが、最近の購入がないグループ
└自社の商品に不満が出てきた
└お客様の状況に変化がある
④最近購入し、累計購入金額も大きく、購入頻度も高いグループ
└自社の商品のファン
あるいは、新規顧客、安定顧客、優良顧客、休眠顧客といった分け方も考えられます。
自社のECサイトの状況に合ったグループ分けをします。
その際に注意すべきことはグループの名称を付けると一人歩きします。名称から元々の考えとは違う意味で捉えられて間違った施策を打つ場合もありますので、細心の注意を払って付けてください。
顧客をセグメント化した各グループに対して、LTVを最大化するために最適な打ち手のためのシナリオを検討します。
前項の「顧客セグメント化」で使った4つのグループ別に説明していきます。
①のグループ
大きい金額で購入してくれていることと、購入頻度が低いことから彼らに適した商品を提案できると再度大きい金額で購入してくれる可能性は高いでしょう。
新商品の案内や直近で購入した商品に関連した商品を提案することで再購入される可能性があります。
新商品のオファーメールや、どんな商品に興味を持っているかをズバリ聞くようなアンケートをしてみるのも一案です。
②のグループ
安定して購入してくれているけれど、累計金額が低いということから自社の商品には満足しているがより多くの金額を出す理由がないという仮説が考えられます。
一つ上のクラスの商品の購入を促すアップセルのキャンペーンや、クロスセルを提案するのが効果的と考えます。
③のグループ
最近の購入がないということで、休眠顧客もしくは離脱客といえます。
累計購入金額が大きいので、自社ECサイトに戻ってきて欲しいグループです。
休眠や離脱になったきっかけが、商品の値上げや入れ替えだったような場合が考えられるときはお得な価格のキャンペーンや商品の細かい説明や使い方の提案などをしてみます。
お客様側が結婚、就職、育児などのような状況が変わったことによる場合はECサイト側では分からないのでアンケートををして、聞いてみるのがいいでしょう。
④のグループ
優良顧客のグループで自社にとっては絶対に手放せないグループです。
普段では受けられない特典を申し出たり、ポイント還元率を高くするといった施策で離脱されることを予防します。
前項のグループ別に考えたシナリオを実行に移します。
また、効果測定を行い、仮説で考えたシナリオ通りの反応と違う場合はすぐに修正して対応していきます。
それ以外に日常的に以下のような施策を打つことによりお客様の維持と関係性を深めることが出来ます。
・パーソナライズされたレコメンドメール
・かご落ちメール
・閲覧リタゲメール
・ポイント明細と有効期限メール
・お誕生日メール
・ランキングメール
顧客管理をしていく上で、前項で説明したシナリオを実行するには自動化が鍵になります。
全てを人手で行うには大変な作業ですし、グループに適した対応をミスすることなく実行するのは至難の業ですので、自動化は必須となります。自動化するにはアプリケーションの導入が必要となります。
Shopyfyと親和性の高い顧客管理をサポートするアプリケーションを以下にご紹介します。
2005年に創業した米国のHubSpot社が開発・提供しているマーケティングプラットフォームです。
HubSpotはインバウンドマーケティングを行うためのセールスオートメーション、マーケティングオートメーション、顧客管理機能などを行うことができるクラウドサービスです。HubSpotはShopifyと連携する機能を提供しています。
製品、顧客、注文のデータを連携することができ、以下のようなことが可能になります。
・製品に基づいたユーザのセグメント化
・かご落ちメールの作成と自動送信
・キャンペーンを自動化するワークフローの作成
・リスト機能による顧客分析
HubSpotは制約はありますが無料から利用可能です。
Shopifyでは、注文情報、商品情報、顧客情報に「タグ」を付けることができます。
「タグ」は自社のECサイト独自の項目を付けるものと考えることができます。
例えば優良顧客の場合には「VIP」というタグを付けるといった具合です。
タグを付けることによって特定の顧客のみにキャンペーンを打つといった使い方ができます。
少ない数であれば人手で付けることができますが多くなってくると工数もかかりますし、ミスも出てきます。
「Easy Tagging」を使うことにより、Shpifyの注文情報、商品情報、顧客情報に「タグ」を自動化することができます。
タグ付けを自動化するには、タグ付けルールを設定します。ルールに合致した注文情報、商品情報、顧客情報に自動でタグ付けしたり、付いていたタグを削除したりしましょう。
URL:https://apps.shopify.com/easy-tagging?locale=ja
今回の記事では顧客管理について説明してきました。
売上を上げるということになると、集客という打ち手が出てきますが、ECサイト自体が大幅に増えたことから新規顧客を獲得するコストは大幅に上昇しています。既にお客様になって頂いている方に2回目、3回目と購入頂く施策がコストもかからずに短期間に結果が出る打ち手です。
ぜひ、今回の記事をを参考にして、あなたのECサイトならではの顧客管理を行って継続的な売上アップを図ってください。
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