ECサイトにおけるレコメンドエンジンはご存じでしょうか?
ECサイトにおけるレコメンドエンジンは、取り入れることでユーザーがチェックしていなかった商品も購入される可能性があります。数多くの商品ページが存在するECサイトにとって、レコメンドエンジンは欠かせない機能と言えるでしょう。
しかし、「ECサイトのレコメンドって何?」と考えている人も多いでしょう。そこで本記事では、ECサイトにおけるレコメンドの概要やレコメンドエンジンについて解説します。レコメンドエンジンのメリット・注意点についても紹介しています。
「そもそもレコメンドエンジンって何?」
「レコメンドエンジンを取り入れることのメリットとは?」
「レコメンドエンジンの注意点が知りたい!」
などとお考えの担当者には必見です!
目次 3-1.レコメンドエンジンの種類 3-1-1.ASP型 3-1-2.オープンソース型 3-2.レコメンドエンジンの仕組み 3-2-1.協調フィルタリング 3-2-2.コンテンツベースフィルタリング 3-2-3. ハイブリットフィルタリング 4-1.購入率の向上 4-2.ECサイトでのおもてなし 5-1.目標設定 5-2.導入直後の精度の低さ 6.まとめ |
レコメンドとは、「推薦する・勧める」などの意味を持つ英語です。ECサイトにおけるレコメンドとは、ユーザーの閲覧・購入履歴を元に、好みの商品をおすすめする機能を指します。
例えば、普段からECサイトでスカートを購入している場合は、ショップのレコメンド欄に新作・人気のスカートが表示されるようになります。ECサイト上のアルゴリズムを解析することで、ユーザーに最適な商品のレコメンドが可能です。
また、ユーザーの行動パターンや閲覧情報をソフトウェアが学習することで、より精度の高いレコメンドが可能になります。既存のECサイトやカートにレコメンド機能が搭載されていない場合でも、レコメンドツールを導入することですぐに利用できます。
自社のECサイトの特徴に合わせてレコメンドツールを選択することで、効果的に売上アップを目指せるでしょう。
ECサイトにおけるレコメンド機能は、非常に高い有効性があります。特にサイト上の「購入単価」の向上が見込めます。ECサイトで購入単価を高めるためには、商品の価格を上げるか、、複数の商品を購入してもらう必要があります。
レコメンド機能を活用することで、ユーザーに複数の商品購入を促せるため、効果的に購入単価を高められるでしょう。さらにレコメンドには、以下2つの機能が備えられています。
クロスセル機能:ユーザーの閲覧・購入履歴を参照し、関連商品をおすすめすること
上記2つのレコメンド機能を活用することで、商品価格を上げることなく、ECサイト全体の購入単価を高めることが可能です。
レコメンドエンジンとは、ECサイトやWebサイト上でアルゴリズムを分析し、ユーザーに対して関連商品やおすすめ商品を表示させるシステムです。
本来、ECサイトやWebサイト単体ではレコメンド機能を利用することはできません。しかし、レコメンドエンジンをサイト上に導入することで、アルゴリズムの分析とレコメンドにおけるルール設定が可能です。
レコメンドエンジン導入後、ユーザーの閲覧・購入履歴に対して一定のルールを設定することで、関連性の高い商品を進められます。関連商品の表示だけではなく、買い忘れアイテムのレコメンドやキャンペーン情報の再配信などが可能です。
また、レコメンドエンジンはECサイト以外にも、ニュースサイトやVODサービスなど、さまざまな業界で活用されています。例えば、ニュースサイトの場合、ユーザーの閲覧履歴を分析し、関連性の高いニュース内容やジャンルを表示することで、閲覧時間の増加を見込めます。
レコメンドエンジンには、大きく分けて以下2つの種類が存在しており、それぞれ特徴が異なります。
・ASP型
下記にて、それぞれの特徴や活用方法を解説します。
ASP型
ASP型とは、Webサイトにレコメンドエンジンを導入して機能を使う方法です。ASPとは「Application Service Provider」の略で、Webアプリケーションの一つです。
ASP型のレコメンドエンジンを導入する場合、システム自体がすでに完成しているため、導入後すぐに機能を活用できるメリットがあります。導入後の開発費は不要で、システムはクラウド型を採用しているためサーバーも用意する必要はありません。Webアプリケーションに関する知識がない場合、小規模サイトですぐにレコメンド機能を利用したいなら、ASP型は最適と言えるでしょう。
ただし、Webアプリケーション自体を導入するため、レコメンドエンジン自体をカスタマイズすることはできません。万が一、機能面に不備がある場合は、開発者側への連絡やアップデートを待つ必要があります。大規模サイトなど自社でレコメンドエンジンをカスタマイズしたい場合は、向いていない可能性が高いです。
オープンソース型とは、導入するECサイトやWebサイトに合わせてレコメンドエンジンをカスタマイズできるサービスです。レコメンドエンジンとして完成していないため、導入後自社サイト用に組み替える必要があるものの、非常に高いカスタマイズ性が特徴です。
オープンソース型はASP型に比べて高機能なサービスが多く、中規模・大規模向けの機能が豊富に搭載されています。サービスの中にはフルスクラッチでレコメンドエンジンを開発できるため、他にはない機能を組み込むことも可能です。
ただし、オープンソース型のレコメンドエンジンは数が限られており、ほとんどが海外製のサービスになります。機能をカスタマイズする際も一定の知識・スキルが必要となるため、使いこなすためには高い技術力が要求されます。
大規模サイトにレコメンドエンジンを組み込む場合や自社に専門的な技術者がいるのであれば、ASP型よりもオープンソース型を選択すると良いでしょう。
レコメンドエンジンに搭載されている主な機能は、以下の3つです。
・協調フィルタリング
それぞれの特徴を順に解説します。
協調フィルタリングとは、ユーザーの閲覧・行動履歴を基に、Webサイト上でおすすめの商品を表示させる方法です。協調フィルタリングはレコメンドエンジンの最も基本的な機能の一つで、多くのサービスに組み込まれています。
過去の閲覧・行動履歴を基に、新商品や関連商品をレコメンドする機能は、協調フィルタリングによる効果です。また、協調フィルタリングは「アイテムベース」と「ユーザーベース」の2種類が存在しており、導入サイトの特性に合わせて選択が必要です。
アイテムベースとは、ユーザーの閲覧・行動履歴を基に、購入されるケースの多い商品をレコメンドする機能です。例えば、洗濯機を購入したユーザーに対して使用すると思われる洗剤と柔軟剤を、レコメンドするなどを指します。
一方、ユーザーベースとは、ユーザーの閲覧・行動履歴を基に、履歴の類似したユーザーが購入した商品をレコメンドする機能です。例えば、商品AとBを同時に購入したユーザーが複数存在する場合、商品Aだけをカートに入れているユーザーに、商品Bをおすすめするなどを指します。
協調フィルタリングは、ECサイトで取り扱っている商品や内容にマッチするサービスを選択することで、最大限効果を発揮できるでしょう。
コンテンツベースフィルタリングとは、Webサイトに登録されている商品の色・デザイン・種類を基に、商品をレコメンドする機能です。商品をWebサイトに登録した時点でレコメンドされるため、即効性の高い機能と言えます。
また、カテゴリに合わせて説明文を追記できるため、レコメンド機能としての精度が高く、ユーザーにマッチする確率を上げられます。ユーザーの求める商品を効果的にレコメンドすることで、購入率の増加だけではなく、顧客満足度アップも期待できるでしょう。
ただし、コンテンツベースフィルタリングは商品の登録自体に手間がかかり、Webサイトに登録されている商品数が多ければ多いほど、表示判断に時間が必要です。一定のパターンでレコメンドが行われるため、ユーザーが商品にカートを入れる度、同じ商品が表示されるデメリットもあります。効果的に活用するためには、定期的に登録商品の属性や表示パターンを変更するなどして、デメリットを払拭する必要があるでしょう。
ハイブリッドフィルタリングとは、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングなど、複数の機能を組み合わせた仕組みを指します。それぞれの仕組みにあるデメリット部分を解決できるように生み出されており、複数の仕組みを同時に活用可能です。
例えば、初めてWebサイトに流入したユーザーでも、カートに入れた商品を基にコンテンツベースフィルタリングを実施したり、購入履歴の多いユーザーには、より精度の高い協調フィルタリングを活用したりできます。
レコメンドエンジンに搭載されている機能をハイブリッドフィルタリングでうまく組み合わせることにより、効果的に販売率を高めることができるでしょう。
レコメンドエンジンを活用することで、以下2つのメリットが得られます。
・購入率の向上
それぞれについて詳しく解説します。
レコメンドエンジンはユーザーの興味がある商品やサービスをおすすめするため、導入することで購入率の向上が見込めます。従来まではユーザーが興味を持った商品しか購入してもらうことができませんでしたが、レコメンドエンジンなら追加購入の後押しが可能です。
また、レコメンドエンジンのクロスセル機能を活用することで、ユーザーの閲覧・購入履歴を参照し、関連商品を勧めてくれます。ユーザーニーズにマッチした商品をレコメンドできれば、効果的に購入率アップができるでしょう。
さらに、レコメンドエンジンによってユーザーの興味がある商品を紹介することで、サイトの滞在時間や直帰率の減少も期待できます。サイトに流入したユーザーの滞在時間が向上することで、結果的に購入率増加を見込めます。
従来のECサイトは実店舗に比べて顧客との接点がないことから、ただ商品を購入する場所になりがちです。一方、レコメンドエンジンを導入することで、商品購入を検討しているユーザーに対して接客に似たサービスを提供できます。
ユーザーが買い物を楽しめる機能を導入することは、ECサイトでのおもてなしの一つです。良質な購入経験をユーザーに与えることで、リピート率の増加や優良顧客の増加も期待できるのです。そのため、これまでのECサイトにはなかったおもてなしを提供できるのは、レコメンドエンジンのメリットと言えるでしょう。
レコメンドエンジンの導入は、メリットだけではありません。以下2つの注意点を考慮した上で、導入する必要があります。
それぞれ順に解説していきます。
レコメンドエンジンを導入する際は、あらかじめ目標を設定しておきましょう。レコメンドエンジンには、協調フィルタリングやコンテンツベースフィルタリングなど、それぞれ特化した機能が存在します。ECサイトの購入率アップ・購入単価の向上など目標設定ができていなければ、効果的に運用することができません。
一方、目標を設定しておけば、レコメンドエンジンのどの機能が必要なのかを把握できます。目的に合わせて最適なレコメンドエンジンの種類を選択することで、効果的にサービスを活用できるでしょう。
導入直後のレコメンドエンジンは、データ数が少ないことからレコメンドの精度が低いため注意しましょう。
導入直後は蓄積データが少ないことから、レコメンドの精度が低く、ユーザーにマッチした商品を紹介できない可能性が高いです。導入直後のレコメンドエンジンの精度が低い状態を「コールドスタート」と呼び、思うような成果は得られません。
また、レコメンドエンジンの精度を高めるためには、ユーザーに関するデータやAIによるアルゴリズムの認識が必要です。閲覧ユーザー数や取扱商品が少ないWebサイトに関しては、レコメンドエンジンの精度がアップするまでに時間がかかってしまいます。そのため、レコメンドエンジン導入後すぐの成果だけではなく、中長期的に目標達成率を確認していく必要があるでしょう。
以上、ECサイトにおけるレコメンドの概要やレコメンドエンジンについて解説しました。
ECサイト・Webサイトにおいてレコメンド機能は非常に高い有効性を発揮しており、販売率や滞在時間の増加が見込めます。ASP型のレコメンドエンジンであれば、特別な知識やスキルがない場合でも、すぐに導入が可能です。
ただし、レコメンドエンジンは導入後すぐに高い精度を発揮するわけではありません。一定期間はユーザーの閲覧・行動履歴やアルゴリズムをデータとして読み込ませる必要があります。
自社サイトに適したレコメンドエンジンを導入し、データを蓄積することで効果的に販売率増加を目指せるでしょう。
あなたのブランドに、特別な購入体験を