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初めて「DtoC」を実施する人が絶対成功するための徹底解説

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DtoCとは「Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」の略で、企業が自社の商品やサービスを、仲介・販売会社を介さず直接消費者にECサイトで販売するビジネスモデルのことを指します。

DtoCで成功している企業の共通点には、以下の4つのポイントがあげられます。

 

◆DtoCで成功している企業の4つのポイント

・独自の世界観やストーリーがある
・WEBマーケティングで集客できている
・顧客との直接的な関係構築に力を入れている
・口コミが増えやすい突出した商品である

 

なぜなら、DtoCは仲介業者を介さず顧客との関係を直接築くことができ、商品やブランドの世界観、マーケティング施策を自らコントロールしやすいという強みがあるため、その強みを最大限に活かしている企業がDtoCの成功につながっているからです。

この記事において、初めてDtoCを実施する担当者向けに、具体的な事例や筆者の経験を交えながら7つのステップにわけて解説するので、最後までご覧ください。

 

DtoCは中間マージンが発生しないから利益率が高いビジネスモデル

 

下記の図解の左側は、一般的な小売販売のビジネスモデルであり、右側はDtoCのビジネスモデルです。

 

◆一般的な小売販売とDtoCを図解で解説

 

 

この図解からも分かるとおり、DtoCでは以下のようなマージンが発生しないため、商品やサービスの利益率が高くなりやすいビジネスモデルであると言えます。

 

・中間マージン
・小売マージン

 

DtoCは、ECプラットフォームを利用して商品を販売するため、ECサイトの利用料(プラットフォーム使用料や決済手数料など)を支払う必要がありますが「BASE」や「STORES」のように、月額費用が無料で利用できるプラットフォームも存在するため、初期費用や固定費を抑えながら運用することができます。

 

そのためDtoC事業者は、商品開発やマーケティングにリソースや予算を集中しやすくなり、ブランドの世界観やストーリーの発信、顧客との関係構築に注力しやすい環境が整いやすいのが特徴と言えます。

 

DtoCは自分達で「世界観やブランディング」がコントロールしやすい

 

メーカーが販売店や代理店を通じて、商品を販売する際にも、当然ながら世界観の構築やブランディングは行われます。しかし、販売店や代理店を経由することで、世界観やブランディングの一貫性が損なわれることがあります。

 

例えば、販売現場では商品コンセプトよりも価格やスペックばかりが強調されてしまったり、ブランドが伝えたい価値とは異なる訴求がなされてしまうケースも少なくありません。さらに、販売店や代理店は複数のメーカーの商品を取り扱っているため、自社商品だけを積極的に販売してもらえるとは限らず、思うように自社の認知のための販促が進まないという課題もあります。

 

その点、DtoCであれば、商品企画から広告、販売、顧客対応まですべてを自社で一貫して行えるため、ブランドの世界観やメッセージをブレずに消費者へ直接届けることができます。つまり、従来の小売モデルと比べて、世界観やブランディングをコントロールしやすいというのが、DtoC最大のメリットのひとつです。

 

優れたDtoCの商品コンセプトや世界観を作ることができれば、ファンとなった顧客が自然とブランドの魅力を「SNS」や「口コミ」で広めてくれるようになり、DtoC事業が持続的な成長につながるようになるのです。 

 

DtoC事業者は自社で「集客から商品販売を行う必要」がある

 

DtoCでは、集客から商品販売を自社で実施する必要があります。しかし、WEB集客は決して簡単ではありません。SNSやSEOなどの手法を駆使して、お客様を自社サイトへ呼び込むための工夫が求められます。

そのため、DtoCで成功するためには、まず集客から商品販売を一貫して仕組み化することが不可欠です。代表的な集客手法としては、主に以下の3つが挙げられます。

 

◆DtoCの代表的な3つの集客手法

 

手法①SNS(インフルエンサー施策を含む)
手法②SEO(ブログマーケティング)
手法③Googleショッピング広告 

 

どの方法が正解というのではなく、自社の商品やターゲット顧客との相性が良い施策を取り入れる必要があります。例えば、筆者の知り合いの経営者は、以下のようなDtoC事業とマーケティングを展開して、年商数億円規模のビジネスを立ち上げております。

 

◆40~50代向けメンズアパレルブランドのマーケティング手法

ブログによるオウンドメディアを立ち上げて「メンズ ショートパンツ 細身」などの服装に関するSEOキーワードを徹底的に対策し、月間10万セッションを獲得。SEOで流入した顧客に自社のアパレル商品を販売。

 

◆ショート動画を活用したゴルフ用品店のマーケティング手法

YouTubeやTiktokのショート動画を活用して、ゴルフ好きに動画を毎日発信。おすすめ動画に取り上げられるためのアルゴリズムを追求して「バズ動画」を量産。フォロワー数が10万人を超え、SNSでターゲット顧客にゴルフ用品を販売。

 

このように、自社商品とターゲットに最適なマーケティング施策を実施することで、WEB集客を実現して売上を生み出すことができるのです。

 

どれほど優れた商品コンセプトやブランドストーリーがあっても、それを届ける手段(集客)がなければ、顧客との出会いすら生まれません。そのため、DtoCにおいては、WEBマーケティングでターゲット顧客に商品をリーチさせることが重要となります。

 

それでは、次に実際にどのようにDtoCを始めればよいのか?具体的なDtoCの7つのステップについて解説してまいります。

 

DtoCを始めるための具体的な7つのステップ

 

DtoC担当者がDtoC事業を開始するための7つのステップを解説するので、各ステップを順にご覧ください。

 

ステップ①ブランドコンセプトの開発

DtoCビジネスにおいては、商品の魅力そのものだけでなく、「誰に・どんな価値を届けるブランドなのか」というブランドコンセプトの設計が非常に重要です。ブランドの世界観やストーリーが明確であればあるほど、顧客の共感を得やすくなり、ファンの獲得にもつながります。

 

例えば、トートバッグを展開しているDtoCブランド「HushTug(ハッシュタグ)」は、モンゴルの貧困や環境問題の解決を目的として、現地に生産工場を設立してモンゴル人の雇用を生み出し、モンゴルの貧困や環境問題を、バック販売を通じて、多くの人に知ってもらう取り組みを行っています。

 

◆HushTagの公式ホームページ

画像引用先:HushTag

 

こうした社会的な背景を持つストーリーに共感した消費者が、商品を購入し、ブランドの魅力を自然と広めているのです。

このように、DtoCブランドではまず、商品やサービスに込められた想いや価値観を明確にし、ブランドの世界観を構築することが重要です。まずは、自社の商品が持つ独自性や価値、そして社会やユーザーにどのように貢献できるのかを深く掘り下げ、言語化しておきましょう。

 

ステップ②ターゲット顧客の設定

ブランドコンセプトが決まったら、次は「誰に向けて売るのか」を具体的に設定する必要があります。ターゲットが明確でないと、コンセプトや訴求内容がブレてしまい、効果的なプロモーションにつながりません。

ターゲット設定では、「20代女性」「30代共働き男性」などの属性だけでなく、以下の例のようにライフスタイルや価値観、購買行動なども含めて「ペルソナ」として詳細に描くのが効果的です。

 

◆ターゲット顧客のペルソナの例

性別:女性
年齢:28歳
居住地:神奈川県横浜市(1LDKマンション)
職業:メーカー勤務/営業アシスタント
年収:450万円
ライフスタイル:日々忙しく働きながらも、休日はカフェ巡りやインテリア雑貨の買い物を楽しむ。ミニマルでセンスのいい暮らしに憧れがある。新しい雑貨はInstagramを毎日チェックしている。

 

このようにターゲット顧客のペルソナをしっかり作ることで、ターゲット顧客を意識したDtoCサイトのデザインやキャッチコピー、広告のターゲティングまで一貫した戦略が立てやすくなるのです。

 

ステップ③ECプラットフォームの選択

 

DtoCをこれから始める方が絶対に避けるべきことは、最初から多機能で高額なECプラットフォームを選んでしまうことです。なぜならWEBで安定的に売上を得るのはカンタンなことではありません。そのため、ECサイト立ち上げ初期は利益が出やすいようにコストを抑えて運営できるECプラットフォームを選ぶことが重要です。

 

DtoCのプラットフォームとしては、多くのSaaSプラットフォームが存在しますが、DtoCでよく利用される8つのECプラットフォームの費用感は以下の通りです。

 

◆DtoCでよく利用される8つのECプラットフォーム

引用先:BASESTORESShopifyカラーミーショップmakeshopEストアーfutureshopecforce

 

とにかく初期費用を抑えたい場合は「BASE(ベース)」や「STORES(ストアーズ)」などの月額無料プラットフォームが有力な選択肢になります。ただし、機能が不足していたり、将来的に独自ドメインを引っ越せないデメリットがあるなど、DtoCの成長フェーズでの制約もあるため、あらかじめデメリットも理解した上で選定することが大切です。

 

デザインの自由度も重視したい場合は、有料の国産プラットフォームを検討するとよいでしょう。なかでも筆者のおすすめは「カラーミーショップ」です。筆者も過去にカラーミーショップでECサイトを構築した経験がありますが、カラーミーはデザインの自由度が高く、表現したい世界観を反映しやすいという利点があります。さらに、月額利用料が4,950円〜とリーズナブルな点も魅力です。

 

一方で、すでにWEBマーケティングの知識やEC運営の経験がある場合は「Shopify(ショピファイ)」がおすすめです。Shopifyは、マーケティングや販売強化に役立つ多彩なプラグインを自由に追加できるため、マーケティングに力を入れたサイト運営が可能です。日本国内でも利用者が多く、情報がネット上に豊富にある点は便嬉しいのですが、ある程度のITリテラシーがないと使いこなすことができません。

 

もし「ITやECが苦手…」という方であれば「Eストアー」が適しています。担当制のカスタマーサポートがEC運営に関する基本的なノウハウを手厚く教えてくれます。ただし、他のサービスに比べて費用がやや高めである点は留意が必要です。

 

そして、DtoCでサブスクリプションモデルを取り入れたい場合は「ecforce(イーシーフォース)」にすべきです。値段は高いですが、サブスクリプションで成功するためのCRM機能や定期販売の機能が豊富であり、DtoCの成功事例が豊富なプラットフォームであるためです。

 

様々なECプラットフォームがありますが、事業規模やご自身のECサイトの経験・ノウハウ、ビジネスモデルなどを考慮してECプラットフォームを選んでみましょう。

 

ステップ④ECサイトのデザイン制作

ECサイトを構築したら、次に行うべきは、サイトのデザイン制作です。DtoCでは、ブランドの世界観をしっかり伝えることが売上に直結するため、サイト全体のトーンやビジュアルを統一することが非常に重要です。

 

しかし、その過程でよくある失敗が、サイトを訪れた第三者から見て「何を売っているのか分からない」サイトデザインになってしまうことです。

たとえば、DtoCでビジネス向けバッグを販売しているブランドのトップページに、次のようなキャッチコピーが大きく表示されていたとします。 

 

◆何を販売しているかわからないDtoCサイトのキャッチコピーの例

「世界から貧困をなくし、笑顔であふれる未来をつくる」

社会貢献の想いは素晴らしいものですが、これだけでは何を販売しているのかが伝わりません。バッグを探しているユーザーがこのコピーを見たとき「あれ、ここってバッグ屋じゃなくてコーポレートサイトなのか?」と勘違いして離脱してしまう可能性があるのです。その結果、せっかく集客しても、売上につながりにくいECサイトになってしまいます。

 

そのため、キャッチコピーにはまず「何を売っているのか」を明確に表現することが重要です。例えば、次のようなコピーであれば、ブランドメッセージと商品の内容がどちらも伝わります。

 

◆何を販売しているのかがわかるDtoCサイトのキャッチコピーの例

「モンゴルの上質レザーを使った、ビジネス向けバック」

このように、「誰に」「何を」届けるのかを具体的に表したキャッチコピーを使うことで、ユーザーは「このページはバック屋だ!」と理解した上で、商品を選ぶことができるので、離脱を防ぎ、購入にもつながりやすくなります。

 

つまり、DtoCにおいて世界観の醸成やストーリーは非常に大切なのですが、いきなりそれを全面に出すと、ユーザーに伝わらないので、トップページのメインビジュアルにおいては「何屋」であるのか?訴求した上で、世界観やストーリーを語るようにするべきなのです。 

 

ステップ⑤商品登録

商品登録ですが、単に写真と価格を入れるだけでは不十分です。商品の魅力がきちんと伝わるように「どんな人におすすめなのか」「使うことでどんな価値が得られるのか」を意識した商品説明文を用意しましょう。

 

DtoCサイトであれば、商品ページにはターゲット顧客を意識した機能や特徴を盛り込むことで、納得感が増して購入率のアップにつながります。

 

例えば、DtoCで有名な「BASEFOOD(ベースフード)」では、以下のように商品ページにも、栄養素やカロリーをデザインではっきりと明示しており、栄養バランスを気にするユーザーに対して強い訴求となります。

 

◆BASEFOODのヤキソバ8個セットの商品ページの一部

img1

 

画像引用先:BASEFOOD

 

また、商品ページには商品レビューを設けて、ターゲット顧客が商品を検討しやすいようにするべきです。商品レビューが入力されたら必ず、DtoC担当者が個別に返信を行い、ユーザーと直接の関係性を築くようにしましょう。

そのような姿勢は、レビュー欄をみた他のユーザーにも「この会社は都度返事をしていて丁寧だ!」という印象を持たれることにつながり、ユーザーと直接的な関係を増やしていくことにつながるからです。

 

ステップ⑥集客戦略(SNS、SEO、Googleショッピング広告)

 

ECサイトを立ち上げたあとに最大の課題となるのが「集客」です。どれだけ良い商品や魅力的なデザインのサイトを作っても、そもそも人が来なければ売上にはつながりません。DtoCは、自社で集客を行うモデルのため自分たちで顧客を呼び込むマーケティング施策を立てる必要があります。

 

DtoCでよく活用されている集客手法は「SNS」「SEO」「Googleショッピング広告」の3つの手法です。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

 

手法①SNS(Instagram、Facebook、X、Tiktok)

SNSでは、最初から世界観やストーリーを前面に打ち出すよりも、ターゲット顧客が思わずフォローしたくなるようなお役立ち情報を提供するようにしましょう。例えば、ダイエット食品であれば、ダイエットのお役立ち情報の発信に力を注ぎます。いきなり自社商品の宣伝ばかりしても、フォローされにくいためです。

 

SNSにおいては、InstagramやFacebook、X、Tiktokなどがありますが、筆者がDtoC事業でおすすめするのは「Tiktok」です。なぜならTiktokはどんな投稿でも必ず数百人は配信するというアルゴリズムがあるため、最初の数百人が反応するような面白い投稿を作ると一気に拡散する可能性があるので、フォロワーが少なくてもバズを生みやすいSNSなのです。

 

Tiktokというと10代が多いイメージですが、令和4年の総務省のデータによると全世代でも28,4%※の利用者がおり、現在ではもっと利用者の幅が広がっていると予想されます。

※データ引用先:令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(11ページ) 

 

また、予算はかかりますが自社商品と相性の良いインフルエンサーに商品の宣伝を依頼することで、短期間で一気に認知や売上を得ることができるので、SNS担当者は、絶えず自社と相性の良いインフルエンサーを探す努力が求められます。

 

手法②SEO(検索エンジン最適化)

SEOは自社サイトへの自然流入を増やすための中長期的な施策です。ECサイトでSEOを意識する場合は、商品ページへのSEO対策よりも、ブログによるコンテンツSEOが一般的です。

例えば「シャンプー メンズ サラサラ」などの目的意識が高い具体的なSEOキーワードで自社のブログ記事が検索結果上位を取得することでターゲット顧客からのアクセスを得ることができます。

 

SEOは広告費に頼らずに集客基盤を作れるのが大きなメリットですが、多くのキーワードでSEOを取得するまでは半年~数年かかることが一般的であり、中長期的な取り組みが必要となるので、成果が出るまではSNS施策やGoogleショッピング広告と併用して取り組みましょう。

 

手法③Googleショッピング広告

Googleショッピング広告とは、以下のように検索結果の上部に商品画像とメーカー、価格を表示できる広告形式です。

 

◆Googleショッピング広告の例

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検索結果で、直接イメージ画像と値段がわかるため、クリック率が高い広告と言われており、購入意欲の高いユーザーが検索しているタイミングでアプローチできるため、CV(購入)につながりやすいのが特徴です。

 

Googleショッピング広告は競合と並んで比較されるため、価格や見た目が重要になります。広告予算が月額で数万円~数百万円必要ですが、コツをつかめばすぐに売上を得ることができます。また、Googleショッピング広告には無料枠もあるので、まずは少額でも良いので実施して広告ノウハウを身につけていくべきでしょう。

 

①から③の集客施策は、最初からすべてに取り組むのは難しいかもしれませんが、ブランドの強みやターゲット層に合ったチャネルから着実に始めることが成功の近道となり、また短期的に成果の出るGoogleショッピング広告と、中長期的に取り組む必要のあるSNS施策やSEO施策を組み合わせて取り組んでみるべきです。

 

ステップ⑦リピート購入施策 

DtoCにおいて売上を安定させるには、リピーターの存在が不可欠です。そのため、SNSやSEO、広告によって集客し、購入に至ったユーザーに対しては、継続的にリピート購入を促す施策を実施する必要があります。その第一歩として、初回購入時に会員登録をしてくれたユーザーには、許諾を得たうえでメルマガを配信していきましょう。

 

現在はCRMやMA(マーケティングオートメーション)など、メルマガ施策を最大化するツールが多くありますが、配信先の母数が少ない段階では、それらの効果は限定的です。ですから、メルマガ会員が5,000人未満であるうちは、以下の基本的なポイントに集中するだけで十分な成果が期待できます。

 

◆最初に集中すべきメルマガのポイント 

・ターゲット顧客が思わず開いてしまう魅力的なメルマガタイトル
・最も開封率が高くなる配信日時の見極め
・「詳しくはこちら」とリンクを貼るのではなく、メルマガ本文そのものに情報を詰め込む

 

メルマガは開封率が低い媒体だからこそ、「見たくなる工夫」が重要です。たとえば「たった1%の人しか知らない~」といったように、数字や限定感を活かしたタイトルは、特に注目を集めやすく効果的です。また、配信日時によって開封率は大きく変わるため、ABテストを繰り返して、最適なタイミングを探ることも忘れずに行いましょう。

 

そして多くの企業がやりがちな「リンク誘導型」のメルマガではなく、スマホでそのまま読み進められるよう、本文中にしっかりと情報やストーリーを書き込む形式がおすすめです。ユーザーが外部リンクに飛ぶ手間なく、その場で満足感を得られるように設計することで、離脱を防ぐことができるからです。

 

また、メルマガと並行してLINE公式アカウントへの登録を促すことも非常に有効です。LINEは開封率・即時性ともに高く、リピート促進との相性が抜群です。たとえば「LINE友だち限定クーポン」や「先行販売のお知らせ」など、LINEでしか得られない特典を用意することで、ユーザーとの接点を強化できます。また、1対1のチャットでのやり取りも可能となり、ユーザーから問い合わせがあれば、直接関係を構築することができます。

 

リピート施策の本質は、「また買いたい」と思ってもらえる仕組み作りでありますが、それ以上にメルマガやLINEを実施することで「商品を思い出す」キッカケにもなるので、これらのリピート施策を必ず実践して、リピート購入につなげてみましょう。

ここまでは、DtoCを始めるための7つのステップについて解説してきましたが、ここからはDtoCを成功させるためのアドバイスを解説します。

 

楽天市場やAmazonの利用も検討すべき

DtoCでは自社ECサイトを中心に販売を行うのが基本ですが、先に解説したとおり集客がカンタンではありません。そのため楽天市場やAmazonなどのモール型ECを併用する戦略も視野にいれてみるべきでしょう。なぜなら、DtoCの立ち上げ初期の段階では、自社サイトだけでは集客が難しいケースも多く、モールの集客力を活かすことで販売のチャンスを広げることができるからです。 

 

例えば、楽天市場は、ポイント制度の利用を好む主婦層が多く集まるプラットフォームであり、Amazonにおいては30代後半の男性をメインに幅広い層に利用されているプラットフォームです。これらのモールで販売することで、次のようなメリットが得られます。

 

◆楽天市場やAmazonを利用するメリット

・新規顧客の獲得チャンスが広がる
・購入意欲の高いユーザーにリーチできる
・ブランド認知拡大のきっかけになる

 

ただし、DtoCとして世界観や顧客体験を大切にしたい場合は、モール側の制約(デザインや販売ルール)や手数料の高さには注意が必要です。また、モール経由の購入では顧客情報が取得しづらく、自社でのCRMやファン育成がしにくいという側面もあります。

 

そのため、自社ECサイトを「本丸」としつつ、楽天市場やAmazonを新規顧客獲得のためのチャネルとして使う戦略がおすすめです。売上が上がらなければ、DtoC事業も盛り上がりませんので、集客の一環として、ショッピングモールも利用してみましょう。

 

また、楽天市場やAmazon以外にもQoo10など化粧品やサプリメントに強いショッピングモールもあるので、自社と相性の良いショッピングモールを探してみてください。

 

商品として突出していれば「集客」につながる

DtoCでは「集客=SNSやSEO、広告」と捉えられがちですが、実は最も強力な集客手段は、商品そのものの魅力です。つまり、もし商品がユニークで、クオリティやアイデアが他と圧倒的に違っていれば、自然とSNSや口コミを通じて広がり、「集客に困らない状態」が生まれるのです。

 

例としては「バックの機能で衣服を圧縮収納して持ち運べる旅行バッグ」や「自動で議事録作成までしてくれる録音マイク」などの今までどこにもなかった発想の商品であれば、使った人が思わず誰かに伝えたくなる力を持っています。

 

実際、SNSでは企業側が投稿しなくても、購入者自身が「これ、すごく良かった!」と自発的に投稿し、商品が広まっていくケースも多々あります。例えば、指輪型の睡眠・体調管理デバイス「Oura Ring(オーラリング)」は、Xで検索すると、無数のUGC(ユーザーによる投稿コンテンツ)※が出てきます。

※過去記事でUGCを解説:本質的な「UGC」を実践して成功するための5つのステップ

 

◆Xで「Oura Ring」と検索すると無数のUGCがある

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Xより筆者が画像をキャプチャー

このように「商品力そのもの」が突き抜けていれば、それは自身がSNSや口コミで拡散していく広告塔にもなり得るのです。だからこそ、集客の前にやるべきことは、「この商品は、誰が見ても思わず欲しくなるか?」という点を突き詰めて考える必要があるのです。

商品力が突出していれば、DtoCは驚くほど少ない広告費でも成長しますし、集客もカンタンに進められるようになるのです。

 

まとめ

DtoCは、始めるのはカンタンですが、そこから収益を得て事業を成功させるのはカンタンではありません。まずは世界観やストーリー、商品企画に全力を注いで、突出した商品や世界観を作りましょう。価値の高い商品は自然と口コミが広がるので、マーケティングで有利な状況を作れるようになります。

 

そして、もう一つDtoCにおいて重要なことは「顧客と直接関係構築していく覚悟」を持つことです。代理店や販売店を介さないということは、単に利益率が高いということではなく、顧客と自社が直接コミュニケーションをとっていくということに他なりません。

 

つまり、顧客と直接信頼を積み重ねていく関係性のビジネスであるという認識が必要です。クレームや質問対応、レビューへの返信、メルマガやLINEでの発信など、全てが顧客との対話の場となります。そこで誠実な対応を重ねていくことで、ただの購入者が“ファン”へと変わっていくのです。

 

DtoCは決して楽な道ではありませんが、自分たちの手でブランドを育て、顧客とつながり、共に成長していくことができるやりがいのあるビジネスモデルです。一つ一つのステップを丁寧に積み上げていけば、売上だけでなく、「応援されるブランド」として長く愛されるDtoC事業を築くことを目指してみてください。

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