ECサイト運営において「カゴ落ち(カート放棄)」は、もっとも悩ましい課題のひとつです。せっかく商品ページまでたどり着いたユーザーが、購入直前で離脱してしまう現象は、売上機会の大きな損失につながります。
近年では、ECプラットフォームや決済サービスの進化によってユーザー体験が向上している一方で、カゴ落ち率は依然として60%〜80%にも及ぶのが実情です。「なぜカゴ落ちが起きるのか?」「自社のカート放棄率は高いのか?」と頭を悩ませるマーケティング担当者やサイト運営者も多いはず。
本記事では、「カゴ落ち対策」を徹底解説。
定義や計測方法、2025年最新の平均カゴ落ち率、主な原因、そしてCVR(コンバージョン率)を30%伸ばすための15の改善施策を、実践的かつ分かりやすくまとめました。また、今すぐ導入できるツールやアプリの比較、実際に大幅な改善に成功した企業事例も多数紹介しています。
「自社のカゴ落ちを本気で減らしたい」「すぐ使える対策や事例を知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
今日から実践できる具体策で、売上アップのヒントを掴みましょう。
ECサイト運営における「カゴ落ち(カート放棄)」は、ユーザーが商品をカートに入れたまま、購入手続きを完了せずにサイトを離脱してしまう現象を指します。
どんなに魅力的な商品やキャンペーンを展開していても、最終的な購入アクションまで到達しない限り売上にはつながりません。カゴ落ちは、EC事業者にとって“本来得られるはずだった売上機会の損失”を意味します。
「カゴ落ち率」(=カート放棄率)は、カートに商品が追加された数に対して、実際に購入完了まで進んだ割合を示す指標です。
以下の計算式が一般的に使われています。
カゴ落ち率(%)=[(カート投入数 - 購入完了数)÷ カート投入数]× 100
例えば、100人が商品をカートに入れたうち、30人が実際に購入した場合のカゴ落ち率は、
(100-30)÷100 × 100 = 70%
となります。
この数値が高いほど、「カートまで進んだユーザーの多くが購入せず離脱している」状態と言えます。
2025年現在、カゴ落ち率はEC業界共通の悩みであり、業種や国によっても大きく異なります。
最新データをもとにした平均値は以下の通りです。
スマートフォン利用時のカゴ落ち率はPCより高い傾向(最大90%近く)にあります。
特にスマートフォンでの購入フローが複雑な場合、カゴ落ち率がより高くなることが多く、「購入率が20~30%あれば優秀」とされるほどです。
カゴ落ちは、ECサイトの売上・利益に直結する“見えない損失”です。例えば、月間1,000万円のカート投入総額があったとしても、カゴ落ち率が70%なら実際の売上は300万円にとどまる計算になります。
仮にカゴ落ち率を10%改善できれば、売上は30%以上増加する可能性も。広告費や集客コストをかけても、カゴ落ち対策なしでは費用対効果が大きく下がる。
こうした理由から、多くのEC事業者が「カゴ落ち対策」を最重要課題の一つと位置づけているのです。
カゴ落ちは、多くのECサイトで共通する悩みですが、その発生要因はひとつではありません。ユーザー視点で「なぜ途中で購入をやめてしまうのか?」を掘り下げることが、的確なカゴ落ち対策のスタートになります。ここでは、特に影響が大きい7つの原因を詳しく解説します。
「カートに入れるまでは安く見えたのに、購入直前で送料や手数料が加算されて総額が高くなった」
こうした“後出し”のコスト表示は、ユーザーの購入意欲を大きく削ぎます。
こういったケースでは、ユーザーが不信感や不満を感じて離脱しやすくなります。送料・手数料はできるだけ早い段階で表示し、合計金額も常に確認できるようにしましょう。
「購入までの入力項目が多すぎる」
「会員登録しないと決済できない」
こうした手間の多い購入フローは、離脱の大きな要因です。
今や「気軽に・手早く買いたい」というニーズが高まっているため、ワンクリック購入やゲストチェックアウト、ソーシャルログインの導入もカゴ落ち対策として効果的です。
「使いたい決済方法が選べない」
「カード情報エラーで何度も弾かれる」
支払い手段の選択肢が少なかったり、決済システムに不具合があったりすると、ユーザーは迷わず離脱します。
幅広い決済手段の用意や、エラー発生時のサポート体制強化が重要です。
「いつ届くのか分からない」
「注文後に“在庫切れ”と連絡が来た」
こうした配送・在庫情報の不足や遅れは、信頼性を大きく損ないます。
ユーザーの不安をなくすためにも、購入前から正確な配送・在庫情報を明示しましょう。
配送追跡はRecustomer配送追跡がおすすめ。
今やEC利用の7割以上がスマートフォン経由です。スマホで見づらい・入力しづらい・動作が遅いサイトは、即離脱につながります。
モバイルファースト設計やチェックアウトページの一画面化で、ユーザーのストレスを最小限に抑えましょう。
ページ表示が遅い、途中でエラー画面が出る
これもカゴ落ちを招く典型的な要因です。
定期的な速度チェックとエラー検知、サイトのパフォーマンス最適化が不可欠です。
最後に、「このサイトで本当に買って大丈夫?」という不安も見逃せません。
こうした要素が不足していると、せっかく購入を決意したユーザーも途中で不安になり、離脱してしまいます。信頼感を醸成する表示や安心できるサポート情報の充実が大切です。
カゴ落ち率を改善し、ECサイトの売上を最大化するためには、多角的なアプローチが欠かせません。ここでは、「今すぐ実践できる」「効果が高い」カゴ落ち対策を15個厳選し、UIの改善、心理的アプローチ、リカバリー施策まで網羅してご紹介します。
スムーズで手間のかからない決済フローは、カゴ落ち率改善の王道です。Amazon PayやApple Pay、Google Payなどのワンクリック決済を導入することで、クレジットカード情報の入力や会員登録の手間を削減し、離脱を防げます。
特にスマホユーザーにとっては、決済の手軽さが購入完了率を左右します。
「送料や手数料が分からない」「思ったより高かった」と感じた瞬間に、ユーザーは購入をやめがちです。
送料・手数料は商品ページやカート内で分かりやすく事前表示し、送料無料となる金額ラインを分かりやすく案内しましょう。送料無料ラインは、客単価アップにも有効です。
「在庫があるか」「いつ届くのか」が分からないと、ユーザーは不安になります。在庫状況や最短配送日をリアルタイムで表示することで、安心して購入手続きに進んでもらえます。とくにギフト需要や急ぎの場合は、配送目安の表示が重要です。
スマホ利用者の増加に合わせて、モバイルファーストのUI設計は必須です。チェックアウトは1ページに集約し、スクロールや入力ストレスを最小限に。
「カート→購入完了」まで迷わず進めるフロー設計が、離脱率を大きく下げます。
カートから離れようとしたユーザーに対して、クーポンや割引のポップアップを自動表示することで、迷っていたユーザーの背中を押せます。
「今だけ○%OFF」や「送料無料クーポン」など、お得感と限定感を演出するのがポイントです。
購入直前に“本当に大丈夫?”という不安を抱えるユーザーも多いもの。カート内や商品ページにレビュー評価や保証バッジ、返金保証のアイコンを掲載し、安心して購入に踏み切ってもらいましょう。
カゴ落ちユーザーには、リターゲティング広告(リマーケティング広告)が効果的です。
カートに入れた商品や関連商品をSNSやWeb広告でパーソナライズ表示し、「忘れていませんか?」とリマインド。CVR(成約率)アップが期待できます。
カゴ落ちメールは送信タイミングと件名が命。
「○○様、カートに商品が残っています」「【限定特典】今なら送料無料!」など、件名に緊急感やメリットを盛り込みます。理想は30分~1時間後、24時間後の2段階送信。自動配信ツールで手間なく実施しましょう。
メールよりも開封率が高いSMSでのリマインド通知も、カゴ落ち対策として注目されています。短いメッセージと商品ページURLを送るだけで、すぐに購入再開を促せます。個人情報の取り扱いや配信ルールに注意しつつ、効果的なフォローアップが可能です。
Webプッシュ通知を活用すれば、ユーザーがサイトを離れていてもブラウザ上で「カートが残っています」と通知できます。一度許諾を得れば、PC・スマホどちらにも配信可能。リピート訪問やカート復帰を促せます。
「購入途中で分からないことがあって離脱」
これを防ぐため、チャットボットを設置し、よくある質問や在庫確認を自動応答しましょう。人的リソースをかけずに、リアルタイムで疑問を解決でき、カゴ落ち率の低減につながります。
「購入ボタンが分かりにくい」
「入力フォームが長すぎる」
こうしたUIの細かな改善には、A/Bテストが効果的です。ボタンの文言や色、フォームの長さを複数パターン試し、最もコンバージョン率の高いパターンを採用しましょう。
「会員登録が面倒」「入力が多すぎる」と感じた瞬間、ユーザーは離脱しがちです。GoogleやLINE、Facebookなどのソーシャルログイン、またはゲスト購入機能を導入し、購入のハードルを下げましょう。
どこでユーザーが離脱しているかをヒートマップや録画セッションで可視化すれば、ボトルネックが一目瞭然。フォーム離脱、バナーの位置など、データにもとづいた改善施策が立てやすくなります。
最後に、「購入後の体験」を強化することもカゴ落ち対策の一環です。
Recustomer配送追跡サービスを活用すれば、配送状況や遅延、トラブルを自動通知し、顧客に安心を届けることができます。
さらに、通知内容をHTMLでカスタマイズしたり、レコメンド機能を活用して追加購入・リピート促進につなげられます。
高開封率(60%超)という実績があり、メルマガよりも確実に顧客との接点を作れる新たな施策として注目されています。
Recustomer配送追跡サービスはこちら。
効果的なカゴ落ち対策を実現するには、優れたツールやアプリの活用が不可欠です。ここでは、EC運営の現場で実際に導入されている定番サービスを目的別にご紹介します。
Shopifyユーザーであれば、専門知識がなくてもすぐにカゴ落ち対策が始められる便利なアプリが充実しています。特に人気なのが以下の3つです。
いずれもノーコードで導入でき、A/Bテストやリマインダー送信も簡単。
自社の課題や顧客層に合わせて最適なアプリを選びましょう。
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EC規模が拡大した場合や、複数チャネルの連携を強化したい場合は、MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入が効果的です。
アプリ・メール・SMS・プッシュ通知など、全チャネルでシナリオ設計が可能。カゴ落ちユーザーごとにパーソナライズしたフォローアップができるのが強みです。
Shopifyとの相性が抜群で、行動データをもとにカゴ落ちメールやリターゲティング広告を自動化。配信結果の分析や細かなセグメント作成も直感的に行えます。
どちらも高精度なターゲティングと自動化によって、CVRアップに直結します。
ツールや施策を導入するだけでなく、「どこでユーザーが離脱しているか」を正確に把握し、データにもとづいた改善を続けることが重要です。
カート投入~購入完了までのユーザー行動を詳細にトラッキング可能。「ファネル分析」や「イベント設定」でカゴ落ちポイントを可視化できます。
GA4と連携することで、離脱率や復帰率、カゴ落ちメール経由のコンバージョンもグラフ化・レポート化できます。
現状のボトルネック特定や効果検証に欠かせないツール群です。
Recustomerは、カゴ落ちだけでなく「購入後の不安や不満」までトータルで解決できるEC向けプラットフォームです。
返品・キャンセル自動化
ユーザー自身がWebから簡単に申請でき、負担や手間を大幅に削減。手続きの透明化が「返品=悪い体験」から「安心できる購入体験」へと変わります。
配送追跡・自動通知
発送や配送トラブルをメール/SMSでリアルタイム通知。HTMLカスタマイズやレコメンド機能で、購入後の体験まで最適化。通知開封率60%超で、リピートやファン化にも強みを発揮します。
購入前だけでなく「購入後」も含めて顧客満足度を最大化できる点が、Recustomerの大きな魅力です。
国内向けECサイトの場合、日本語サポートや決済のしやすさ、各種媒体との連携のしやすさも重要です。
日本の主要ECサイトでも採用されているリターゲティング広告ツール。カゴ落ちユーザーへのバナー広告配信や、LINE連携でのリマインダーなどが可能。
費用感の目安
実装難易度やサポート体制、レポート機能の充実度も比較しながら、自社に最適なツールを選定しましょう。
実際にカゴ落ち対策を徹底し、大きな成果を上げたEC企業の事例をご紹介します。自社の状況や課題と照らし合わせ、具体的なヒントを見つけてください。
アパレルEC大手A社では、カートページやチェックアウト画面のUI(ユーザーインターフェース)をモバイル向けに刷新。
同時に、カゴ落ちしたユーザーへSMSで即時リマインド通知を送信した結果、カゴ落ち率は従来比40%減少、CVR(購入完了率)は1.3倍まで改善しました。
特に効果的だった対策
ユーザーのストレスを最小限にし、タイムリーな再アプローチが成果につながりました。
D2CコスメブランドB社は、カゴ落ちメールの自動送信シナリオを構築。
「30分後」「24時間後」など段階的なリマインドメールを導入し、件名・本文をA/Bテストで最適化しました。
結果
「あと一歩」で離脱していたユーザーの購入率を大幅に引き上げ、メールによるパーソナルなリマインド施策がROIの高い成果をもたらしました。
家電ECのC社は、カート投入時点で「あと〇〇円で送料無料」と明確に表示し、送料無料となる購入金額ラインを分析して最適化。
さらに、購入フロー内で合計金額・送料をリアルタイムで表示する設計に変更しました。
結果
「送料の不透明さ」という典型的な離脱要因の解消が、売上増加とCVR向上を両立させました。
Recustomerを導入したあるD2Cブランドでは、購入後の配送追跡をSMSやメールでリアルタイム自動通知。「商品発送」「配送遅延」「お届け完了」などのタイミングで、顧客ごとにカスタマイズしたメッセージを配信しました。
結果
「購入後も安心できる体験」が信頼とファン化につながり、カゴ落ち予防とLTV(顧客生涯価値)最大化の両方に効果が見られました。
カゴ落ちは、どのECサイトにも起こり得る“見えない売上損失”ですが、対策を重ねることで確実に改善できます。
本記事で紹介したように、カゴ落ちの主な原因を正しく分析し、UI/UXや心理的アプローチ、リカバリー施策を総合的に実践することがポイントです。
また、ユーザー行動や離脱ポイントをGoogle Analyticsやヒートマップ、カゴ落ちメールの反応データなどで定期的に確認し、PDCAサイクルを回し続けることが、根本的なカゴ落ち率改善につながります。
さらに、Recustomer配送追跡をはじめとする購入後の体験強化や、返品・キャンセルなどのサポート自動化も、顧客の信頼やロイヤルティ向上、リピート促進に直結します。
「何となくの改善」ではなく、データを根拠にした細やかなチューニングと、ユーザー目線の体験設計を続けることこそが、CVRアップとLTV最大化への最短ルートです。
今こそ、今日からできるカゴ落ち対策をひとつずつ実践し、売上機会の最大化と“また買いたい”と思ってもらえるECサイト作りを目指しましょう。